約 3,643,318 件
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/2408.html
屋上のゆっくり ●寒さとの戦いの続きですが、特に前作を読む必要はありません。 ●現代物です。 お兄さんは悩んでいました。 先日の大型冷蔵庫によるゆっくり軟禁実験は予想外に短期間でゆっくり達が自滅してしまったため、暇が余ってしまったのです。 ゆっくりが自滅する様を見るのは、大変楽しいとはいえ、今少し長く楽しみたい。 与えた環境が過酷過ぎたなら、少々緩和してみようと。 「ゆっくりだすんだぜー!」 「わからないよー。」 「むきゅー。」 やいのやいのと騒ぐゆっくり達。 今回はペットショップで買って来た餌用ゆっくり(三匹セット200円) 小動物用に子ゆっくりサイズで成長が止まる加工がされているものを屋上の高架水槽のフロアに離します。 「さて、君達にはここで暮らしてもらいます。」 周囲はビューという風の音がなり響く、ゆっくり達にとって、過酷な環境です。 強い風はゆっくり出来ない音を出しますし、体を冷やします。 最悪、飾りが飛びかねません。 「むきゅー、かぜさんがつよすぎでゆっくりできないわ。」 ばたばたと三匹の髪飾りが風に揺れています。 「かぜさんはゆっくりできないんだね。わかるよー。」 「じじいははやく、ここからまりさたちをだすんだせ!」 お兄さんは冷笑を浮かべながら、宣言しました。 「断る。お前達は子孫に至るまで、ここで死ぬ。変更はない。」 「「「どぼぢでぞんなごどいうの゛ぉぉ!」」」 嘆き騒ぐゆっくり達を尻目に、お兄さんは雑草だらけとなったプランターをしっかり固定して高架水槽の周りに小さな草原を作ります。 プランターの下の湿った場所にはダンゴムシなどのゆっくりの好物の虫を、高架水槽の隙間には防水加工したゆっくり達の巣箱を三つはめ込みます。 「では、食うものも住み家も用意した。後は達者でくらせ。」 「「ゆべっ!!!」」ゆっくり達はフロアの床に転がされ、プランターにぶつかったところで止まります。 「ゆっゆっゆっ」 「ひどいめにあったんだねー。わかるよー。」 ぴくぴくと痙攣しながら気絶しているゆっくりぱちゅりーを介抱するように、用意された巣箱にちぇんは運んでいきます。 しっかり固定された発泡スチロール製の巣箱はソフトボール程度の大きさしかないこの種のゆっくり達にとってだいぶ大きなおうちでした。 「さむいのぜ;ゆっくりできないんだぜ」 屋上は地上五階部分。普段住んでいる場所と違い、常時強風が吹き荒れます。 「おぼうしさんがとばされないようにしなきゃだぜ」 ソフトボール大のまりさはゆっくりハウスの中で呟きます。 お兄さんが用意した草や虫、ゆっくりフードを一日一定数供給するえさ箱など、食べるには困らない環境です。 しかし、ほぼ観察するのみとはいえ、虐待お兄さんが用意したものです。仕掛けはゆっくりと動いています。 その日の夜 「なんでなのぜー!」 「わからないよぉー!」 寝ているぱちゅりー以外の二匹の叫び声が響きます。 「むきゅ・・・どぼじであがぢゃんできてるのぉぉ」 ちぇんのお腹は二倍程に膨れあがり、中で赤ゆっくりがぴくぴくと動いているのが薄い皮越しに見えます。 お兄さんが残した餌さ箱の餌は低確率でゆっくりをにんしんっさせる効果があるためです。 「ゆっ!うばれるんだねぇ。わがるよぉ!」ぽんぽんぽんっと、ゆっくりちぇんの赤ゆっくりが三匹産まれます。 「ゆっきゅりしちぇいっちぇにぇ!!!」 「ちぇんの赤ちゃんとってもゆっくりしてるよー。わかるよぉぉ。」 「むきゅ、このこたちのえさはどうするの?」 「ゆっ!」 ぱちゅりーの言う通りこの屋上にある餌は三匹のゆっくりが暮らす分には不足ありません。 逆に言えば、増えたゆっくりに回せる余裕はないのです。 しかも、餌さ箱の餌はにんしんっを促進させるもの・・・ 記憶力がいいぱちゅりーはお兄さんが言った言葉を思い出しました 「子孫に至るまでここから出れない。」 「むきゅっ!ぱたっ。」 ゆっくり出来ない想像をして、ぱちゅりーは失神しました。 「意外に頭がいいぱちゅりーだな。餌さ用にもたまには当たりがあるのかね?」 次の朝、様子を見にきたお兄さんは、ぱちゅりーとちぇんの会話を聴きながら、そう評します。 「どぼじて、ぞんなごというのぉ!」 「わきゃらにゃぃよぉー!!!」 「むきゅ!これいじょう、あかちゃんがふえたら、みんなゆっくりできなくなるわ!」 「あかちゃんはゆっくりできるでしょー!わからないよー。」 早くもプランターの下の虫は全滅状態のようです。 赤ゆは只でさえ燃費が悪いのに、ゆっくり的には美味しい虫を食べさせ続けた結果がこれです。 餌箱も一週間もしたら餌が尽きます。 「そうしたら、こいつらはどうなるか・・・今から楽しみだ。」 そして一週間後。 お仕事が終わったお兄さんは、ゆっくり達を確認に屋上に上ります。 ここ一週間、納品続きでさっぱり確認できなかったからです。 「「「ゆぎゃー!」」」 「お、やってる。やってる。」 そこには、殆んどの草が食い尽されたプランター。 あちこちがかじられた巣箱、そして、共食いしはじめた赤ゆっくり達。 「やっぱり、うまれたてはさいこうなのぜ。」 自分の赤ゆを食べるまりさ、どうやら初期のゆっくりはこれしか生き残っていないようです。 他は 赤まりさ×20 赤ちぇん×10 赤ぱちゅりー×8 ちぇんやぱちゅりーの姿がないところを見ると、二匹とも巣箱の中でおたべなさいしたらしく、二つに割れたまんじゅうが入っていました。 赤ゆっくり達を生き残らせるために、自らを犠牲にしたのでしょう。 「ここにはぜったいいれにゃいわ!」 「たてきょもりだょー」 雑草の茎で入り口は塞がれています。ゆっくりのやることなので、隙間は空いていますが、外で共食いを始めたまりさが入れない程度の強度はあるようです。 「むーちゃ、むーちゃ、・・・ゆげぇ!!!」 巣箱の発泡スチロールの欠片を食べてあんこを吐いて死ぬもの。 そのあんこを美味しそうに食べる親まりさ。 最早、まとまった餌はぱちゅりー達の巣箱だった中にある親ゆっくり二匹の残骸くらいのものです。 「ゆっ!もう、あんこはたべあきたのぜ。」ぎろりと封鎖された巣箱を見る親まりさ。中には、生クリームの詰まった子パチュリー達と チョコクリームの詰まった子ちぇんがいます。 「む~しゃ、む~しゃ 、それなりー。」 「ゆが~ん!!まりしゃはゆっくちできないよ!!」 「むきゅ!みんなでたたかえばかてるわ!」「わきゃるよー!とちゅげきにゃんだにぇー」 わらわらと出てくる赤ゆっくり達。普通なら成体ゆっくりと赤ゆっくりでは勝負になりません。 ですが、子ゆっくりサイズまでにしかならない品種改良を受けたまりさには、意外に多数の赤ゆっくりが突っ込んで来るのは効果がありました。 「ゆ!こなまいきなあかちゃんはしんでね!まりさのでぃなーに、ゆべべっ!!」 「ゆ!まじゅいおめめだにぇ!!」 「ゆべっ!わきゃらにゃいよー。ちぇんのあんよがー。」 「むきゃっ!ふまにゃいでー。ゆ゛っゆ゛っゅ゛ゅ゛ゅ゛っっ。」 次々に飛びかかる赤ちぇんや噛みつこうとして 赤ぱちゅりー。体のあちこちをえぐられ、噛み千切られながらも、赤ゆを食い殺し続ける親まりさ。 遂には親まりさの皮がずるりと千切れ、断末魔の悲鳴もあげることが出来ずに一塊のあんことなります。 「あーあ、遂に死んだか。追い詰められた結果は人もゆっくりも変わらんね。」 ぱちゅりー達の巣箱付近では、殆んどの赤ゆが死に絶え、後に残ったのは、赤ぱちゅりーと赤ちぇんが各1匹、赤まりさが三匹だけ。 大量の赤ゆと親まりさが永遠にゆっくりしてしまった結果、破滅的に悪化した食糧事情は回復しました。 「むーちゃ、むーちゃちあわちぇぇ!!!」「こにょあまあまさんはみんかまりさのものだぢぇ!」 「ちらにゃいじぇ、みんなまりしゃがたべるにょじぇ!!」 危機が去ったにも関わらず、醜い言い争いを続ける赤まりさ達。 対照的に仲間の過半を失った赤ぱちゅりー達はゆ~ゆ~と嘆きながら、巣箱に仲間の残骸を運び始めます。 かーかーかー。 「ゆっ!真っ黒さんがやってきたよ!!」 外にいて、あんこを食べ続けた赤まりさ達は飛んできたカラスを見ました。 「ゆっ!ゆっきゅりし、ゆぴっ!!」 「まりしゃのいもうとがー。 赤まりさの目を手早くカラスはえぐり、他の赤まりさの底部をつついて動けなくします。 「ゆっゆ゛っゆ゛っ」「いちゃいよぉ!おうちかえる!!」 「にゃんで、こんにゃ、ゆきゃー!!」 ぶちぶちと音を立てて赤まりさの体は縦に引き裂かれ、カラスはゆっくりと食べていきます。 害鳥扱いされているカラスも、ゆっくりを喰らう時だけは人間に邪魔されません。 動きがとれなくなった赤まりさ達は、時間をかけてついばまれ、生きながらにして原形を失なっていきます。 「もっぢょ・・・ゆっくち・・・」 ぐしゃりと舌を潰され最後に残った赤まりさはクチバシにくわえられ、カラスによってさらわれていきます。 「むきゅっ・・・おそとはゆっくりできないわ。」 「きょわいんだにぇ・・・わきゃったよー」二匹の赤ゆっくりは、小刻に震えながら、巣箱の中で赤まりさがばらばらにされる様を見ていました。 「ゆっくり出来ない環境にさらされ続けたゆっくりは餌があっても成長できないか。試して見るのも楽しそうだな。」 お兄さんはゆっくり屋上を後にします。 食べられ尽くされていたプランターには、ゆっくりと雑草が再び生え始めていました。 ~~~~一ヶ月後~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ ようやく仕事を一段落させたお兄さんは、屋上のゆっくり達を思いだし、貯水タンクの辺りをみてみました。 ゆっくりしていってね!」 「ここはみんなのゆっくりぷれいすだよ。おにいさんもゆっくりしようね!!」 小さな赤ちぇんと赤ぱちゅりー二匹の他に、ねずみに相討ちになった状態で永遠にゆっくりしてしまっているちぇんと、食い殺されたぱちゅりーの残骸がありました。 「お前達はゆっくり出来ているのか?」 「むきゅ!!ゆっくりしているわ。おかあさんたちがえいえんにゆっくりしてもまもってくれたんだもの。」 「そのぶんまでゆっくりするんだよー。」 三世代目に入ったゆっくり達には既にこの小さな屋上以外の知識は消えているのでしょう。 「そんなお前達にあまあまをやろう。」 「むきゅ!おにいさんからものをもらうとゆっくりできないって、おかあさんにいわれたわ。」 「わかるよー。たべちゃいけないんだね。」 多少は教育を受けたのか、賢い個体になっているようです。 「まぁ、いい。食べたければ食べるがいいさ」 そっと、10円チョコを二つ置き、お兄さんはその場を後にしました。 その次の週、お菓子の甘味に負けた赤ゆっくり達が飢えて死んだのが、それとも耐えてゆっくりしてるのか・・・ 箱の中の猫の生死を確認するように、屋上までやってきたお兄さん。 そこには少し予想と違った光景がありました。 「むきゅ・・・ゆっくりできないわ。」 「わかるよー・・・」げっそりしながら、ソフトボール程度の大きさになったゆっくりが二匹。 「何がそんなにゆっくり出来てないんだ?」足元には、先日おいた10円チョコが二つ。 「むきゅ!いいにおいがするのに、たべられないのはゆっくりできないわ!!」 「でも、いいにおいはゆっくりできるよー。それはわかるよー。」 二匹はゆっくりらしからぬ忍耐で食べるのを我慢している。食べたらゆっくり出来なくなるのが分かるのか、涙を流しながら見ているだけ。 「いいことを教えてやろう。そのあまあまは食べるとしあわせーになる代わり、他の食べ物は二度と食べられなくなるぞ。」 「「ゆ゛っ!!!。」」 ぱたっと二匹のゆっくりは巣箱の中で気絶したようです。 屋上のゆっくり達はようやく、餌が自給出来るようになったのに、今度はパンドラの箱を渡されたようなものでした。 いつまで我慢できるでしょうか? 続く? 後書き 屋上の貯水タンクのあるスペースは6畳くらいのサイズで、屋上の他のスペースとは一段高い位置にあります。 続きを書くとすれば、その後お菓子を巡るゆっくり達の対立物にするような感じですね。 本編は携帯で書いているので変な部分がありますが見逃してください。 orz 著:moltoke これまで書いたの ゆっくりいじめ系2263 ゆしるだー ゆっくりいじめ系2357 寒さとの戦い このSSに感想をつける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1350.html
ゆっくりわさび 家に帰宅するなり、自分を迎えてくれたのは無残にも散らかされた部屋と 開けっ放しの冷蔵庫、そして水道の水がジャーと音を立てたまま流れ続けている。 そして部屋の奥で笑顔の紅白の饅頭だった。 「ゆ? ここはれいむのおうちだよ、ゆっくりしていってね!」 と言い出す、お饅頭。 これは、ゆっくりという生物らしく、見た目は人の顔だをした生き物だ。 このゆっくりは、ゆっくりれいむという種族で、赤いリボンをしているのが特徴。 それからゆっくり達の顔は、みんな女の子の顔をしており髪の毛もしっかりついている ゆっくりの赤ちゃん達も生まれながらに髪の毛と、種族がれいむならリボンも付いているらしい。 「おじさんはだれ? ここはれいむのおうちだからかってにはいらないでね」 人の家に無断で侵入しておいて、よくもまあそんな事が口から出てくるものだ これが動物ならば家の主が帰ってくれば一目散に逃げ出すのだろうが このゆっくりという種族は知能をもち、人語を話す、動物と違い会話ができる知能がある。 しかしその中途半端な知能は人間にも動物にも圧倒的に劣る。そのアホな知能のお陰で大抵のゆっくり達は長生きができないのだ なぜかって? どんなに悪事を重ねても(ゆっくり達に善悪はわからない)満面の笑顔で。 「ゆっくりしていってね!」などとほざく。 善悪が分からないということは可哀想といえば可哀想だ。 とりあえず俺は、ゆっくりれいむを無視して部屋の片付けに取り掛かった。 まずは出っぱなしの水道を止める。けっこうキツめにひねっておく。 次は部屋の片づけだ。 本棚からあふれ出された本を片付ける、いくつかはページやカバーをやぶり捨てられている 多分、食物と思いページを食べたのだろう。 食べられないと分かると、はき捨てたページと思われる、ゆっくりが吐き出した胃液でぐちゃぐちゃになっている塊が そこら中に散らばっている。 それらを一つ一つ、手に取り、ゴミ箱に捨てる。 もちろんゴミ箱もご丁寧に倒されてあり、中のゴミが散らばっている。 そのゴミも一緒に、さっきのページの塊と一緒にいれていく。 ゆっくりのよだれと見られる白い液も雑巾で拭いていく。 その様子にゆっくりれいむは、この男が部屋の片付けに来てくれたのだと思いこう言う 「おじさん、れいむのおうちをきれいにしてくれてるんだね、ありがとう」 ほう、勘違いしているとはいえ、ゆっくりもお礼を言うことくらいはできるのか 「でもきれいにしたらでていってね、ここはれいむのおうちだから れいむがひとりでゆっくりするよ」 やれやれ、前言撤回だ。 このゆっくりという生き物は、自己中心的で自分の事しか考えられないらしい この性格が災いして、黙っていればそこそこ可愛いかもしれないのに、人の怒りに触れてしまう その結果、殺されてしまう。 こういえば怒るとか喜ぶとかがよく分かっていないらしい 完全に自分のルールの中だけで生きているのだ、子供のうちは仕方ないかもしれないが、大人になっても こうであるのだからどうしようもない。まあ、ゆっくりだしね。でもやっぱり喋るのがいくない。 この喋る機能のせいで、大抵の人の神経を逆撫でしてしまうのだ。 そして最後に開けっ放しの冷蔵庫を見る。 中に入っていたものは食い散らかされ、見るも無残な姿になっている。 倒れて、ぼたぼたと中身が流れている紙パックのオレンジジュース、牛乳 潰れた卵パック、袋を破り捨てて食ったと思われる、ハムやウィンナー 野菜も全滅。 どの野菜も不味い茎や根っこの部分だけご丁寧に残っている。 はぁ… と冷蔵庫を閉めようと思った俺は冷蔵庫の奥に残っているものを発見した。 「こ、これは… わさびじゃねーか!」 前に刺身用に勝ってきた新品のわさびである。 なぜ新品かというと、大抵の刺身にはわさびも一緒にくっついてくるものなのだ。 だから使わずに新品だった、それだけ事なのだ。 そのわさびを見つめ、俺は面白い事を考えた。 このゆっくりに天国と地獄を見せてやろうと。 後ろを振り向きゆっくりれいむの方を向く。 「おうちがきれいになったよ ありがとう おじさんはもうでていってね」 まだそんな事を言ってやがる、まぁいいや、俺はゆっくりにある提案を持ちかけた。 「ごめんな、ここはれいむのお家だったんだよな、でもおじさんも帰るおうちがないからここに住まわしてほしいんだよ」 ぷぅーと顔を膨らませこう言い返す。 「だめだよ、ここはれいむだけのおうちだもん ゆっくりするのはれいむだけだよ」 なんという自己中饅頭だ。 仕方ないので条件を出すことにした。 「じゃあおじさんがいまから美味しい食べ物を持ってきてあげる だから一日だけでいいから泊めて、お願い」 その条件を聞き、ゆっくりれいむの顔つきが変わった。 「おいしいものくれるの、じゃあいいよ でもあしたになったらでていってね」 ちゃっかり明日には出て行けといい忘れない所にゆっくりの自己中心な性格を感じる。 そして俺は、ゆっくりに占領された我が家を出て、夜のコンビニに向かった。 「いらっしゃいませー」 コンビニに着いた俺は、早足で目的の商品を買う。 目的の商品は、わさび二つと、抹茶アイス二つだった。 「ありがとうございましたー」 商品を店員から受け取ると急いで家へと向かう。 家のドアを空けるなり、ゆっくりれいむが近寄ってきた。 「おじさんおかえり! はやくおいしいものたべたいよ!」 ぽよんぽよんとゴムボールのように跳ねまわり、よだれを垂らしながら俺の持っているコンビニの袋に飛びつこうとする。 「まだ駄目だよ、この食べ物はよーく冷やさないとおいしくないんだ、今食べたらおいしくないぞ」 そう俺に諭されゆっくりは残念そうに袋をみる 「ゆぅ… わかったよ がまんするね」 とりあえず買ってきたわさびとアイスを冷蔵庫に入れる。アイスだけは溶けないように冷蔵庫の一番上の冷凍庫に入れる。 ちなみにこの段は何も入っていなかったのでゆっくりに襲われずにすんだ場所である。 それ以前にゆっくりの跳躍では一番上まで届かないということでもあるが。 とりあえずよく冷えるまで一時間程度置いてみる事にした。 その間また何かされては困るので、監視もかねて、ゆっくりれいむと遊んであげる事にした。 そして一時間後 買った時よりもよく冷えた、わさびとアイス。 これを別々に同じ容器に入れる。透明なガラスの容器なの冷たさを一層引き立たせる。 遠目で見ると一見同じ、抹茶アイスだが片方はわさびの塊である。 チューブのわさびを二本まるまる使ってできた一品である。 「これでよし… と」 思わず口元がにやける、これから始める悪戯に対して、いい歳しつつもワクワクしてしまうのだ。 最初に抹茶アイスの方だけをゆっくりれいむの方へ持っていく。 「これが美味しいアイスっていう食べ物だよ」 ゆっくりれいむの目には、コンビニの抹茶アイスが輝いて見える。 冷たそうで美味しそう。透明な器に入れてあるのでより一層そう感じる。 初めて見る食べ物に、ゆっくりれいむの口元からはよだれがだらだら溢れてきていた。 「まずは俺が一口」 ぱくっとスプーンでアイスを口に運ぶ俺。 感想は、まぁ抹茶アイスですね… くらいか それを見たゆっくりれいむは自分にも早く早くとばかりに、ぴょんぴょんとアイスに食いつこうと跳ねる跳ねる。 「おじさん! はやくれいむにもそれちょうだい ゆっくりはやくたべたいよ」 ゆっくりはやくという言葉の意味はわからなかったが、スプーンで一口すくい、ゆっくりれいむの口に入れてやる。 ゆっくりれいむの口の中に広がる、極上の冷たく甘い刺激! 一口のアイスを何度も下で転がし味わいまくる。 「しあわせー!!!」 たった一口のアイスを思い切り味わったゆっくりれいむの表情はご満悦といった感じだった。 「おじさん! もっとちょうだい! もっとゆっくりたべたいよ!」 きらきらした目と表情で、もっとよこせと訴えてくるゆっくりれいむ 「いいよ、全部食べなよ」 俺はそう言って残りのアイスを全部あげることにした。 「ゆっくりいただきまーす!!!」 物凄い勢いで、器の中に頭を突っ込みむしゃむしゃとアイスを頬張るゆっくりれいむ。 こんな汚い食べ方は動物でもしないだろう。見ていて哀れにしか見えない。 あっという間にアイスを感触し、満足そうなゆっくりれいむ。 ゆっくりゆっくり言ってる癖にゆっくり食べるという頭はないのだろうか。 ゆっくりれいむは俺の方を向きこう言う。 「おじさん! もっとないの! もっとたべたいよ! いますぐもってきてね!」 そう来ると思った。俺はすぐに準備してあったわさびアイスを持ってくる。 「はいはい、ちゃあんと準備してあるよ」 ゆっくりれいむの傍に、わさびアイスを置く。 「いただきまーす!!!」 おかわりのアイスを目の前にゆっくりれいむは、抹茶アイスではないわさびアイスに飛びつく。 思い切り大きな口を開け、わさびのアイスを丸呑みだ 「やった!」 思わず口から喜びの声が漏れる。ついにこの馬鹿饅頭にわさびの塊を食わせる事ができた。 これからどうなるのか? 考えただけでぞくぞくしてくる。 「ん…? なんだかこれへんなあじがするよ さっきのとはちがうよおいしくないよ」 バカタレめ、食い意地はって一口で丸呑みにするからだ。 全部食ってからようやく気付きやがった。しかしもう遅い! 数秒後、ゆっくりの表情がみるみるうちに変わっていく 「うあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!! ぐぢのなががからいよ! めがいたいよ!」 ついにわさびの効果がきき始めてきたか。 ゆっくりれいむは目から顔から大量の涙と汗をたれ流し、のたうち回りはじめた。 「うげえええ!!! ぶぅうぅおえええええええええええええええええええ!!!」 口を大きく広げ、なんとか食べたわさびを吐き出そうとする、ゆっくりれいむだが、既にわさびは消化済みらしい 「いだい!いだい!いだいよ おくちがいだいおおおおおおお!!!」 目からは涙は止まらない、いや顔全体から液という液が垂れ流しになっている状態だ。 このままでは自分は死ぬと悟ったゆっくりれいむは、のたうちまわるのをやめ、ある場所へと突撃した。 その場所とは水道である。この危機を打破する為には水を飲むしかないと判断したのだろう。 「みずぅ!! おびずうううううう!!!」 物凄い形相で水道の方へ飛び跳ねていくゆっくりれいむ。 だが、そんな簡単にいかせるわけにはいかない。 「そうはいくか!」 俺はすかさず、後ろからゆっくりれいむを掴み、壁に叩きつけた。 「うぶぇ!!!」 壁に投げられずりずりとすり落ちていくゆっくりれいむだが、口の辛さと、目の痛さがそれを許さなかった。 すぐさま起き上がり、水道へと網突進を開始する。 「びず!!! びずぅううううう!!!」 「オラァ!」 またまたすかさず、飛び上がった隙を狙う。 「ぶふぅ!!」 飛び上がったゆっくりれいむを殴りつける俺。もちろん全力ではない。 それでもゆっくりに対してはかなりの威力があったらしく、殴られた勢いでぼよんぼよんと床を何回もバウンドし叩きつけられた。 「ゆ… ゆぅ…」 今ので結構なダメージらしくなかなか起き上がってこない。相当に顔にもダメージを受けている。 だが、目の痛さと口の辛さは休むのを許してくれなかった。 「ゆぅぅぅ!! ゆっぐりどいてねぇえええ!!!」 修羅のような顔で、三度目の突撃を開始する、ゆっくりれいむ。 もはや、ゆっくりれいむには水道しか見えていない。 そして俺は、水道を守護する門番な気分になっていた。 飛んできては、殴り、投げ、殴り、投げの繰り返し。 それでも、ゆっくりれいむは水道に行くのをあきらめなかった。 「ゆっぐり!どいてよぉおおおおお!!!」 「おみず! のませでぇええええええ!!!」 「ほんどに ほんどにじんじゃうううう!!!」 根気負けという奴だろうか、俺はついに水道への道を開けてやる事にした。 「しょうがない、俺の負けだ 早く行けよ」 「おびずぅぅぅ!!!」 真っ赤な顔をして一目散に水道へと向かう、ゆっくりれいむ。 もはや、ゆっくりれいむの顔は限界に来ていた。 口の中の感触がまるでない、焼け爛れたようにジンジン痛みが襲ってくる。 眼球が飛び出そうだ、涙も枯れ果てている。 一歩、一歩、水道が近づいてくる。 そして、水道の真下までたどり着いた。後はこの上まで飛び上がるだけだ。 ゆっくりれいむは最後の力を振り絞り、大きな跳躍を見せ、見事水道の蛇口まで飛び上がった。 そして、蛇口をひねれば水が出るという事を知っていた、ゆっくりれいむは蛇口に口を挟み、ひねり始めた。 「む゛ー!!! む゛ー!!!」 必死に蛇口を回そうとするが、一向に回る様子がない蛇口。 どうして? どうして回らないの? と涙は出ずとも、悲しい表情のまま蛇口を必死にひねり続ける。 なぜ回らないのかというと、別に特別な仕掛けを仕掛けたわけでもなく、きつめに捻っておいただけだ。 しかしゆっくり程度の口の力ではまわすことも適わない。 「む゛ー!!! む゛ー!!!」 ぷはっと口を離してしまい、そのまま水道の流し台にすっぽりはまる、ゆっくりれいむ。 なんともお似合いの格好だ。これが便器だったらさぞや面白い光景だったろう。 「どうじで… どうじでまわらないの!!」 すっぽり水道にはまった、ゆっくりれいむを上から見下ろす俺。 「どうしたんだよ? 早く水を飲まないと本当に死ぬぞ」 にやにやした顔つきで、ゆっくりれいむに状況を聞いてみる。 「おじざん… だめだよ じゃぐちがあかないよ… おねがいだよ じゃぐぢをひねってね!」」 ここに来て、俺を頼ってきたか。仕方ない俺は鬼でも天狗でもない、助けてやろう。 もちろん条件つきでな。 「とりあえず、ゆっくりれいむよ、ここは俺の家だ、それだけはまず最初に認めてもらう」 「ゆぅ… わかったよ ここはおじさんのいえだよ… だからはやくじゃぐちを」 もはや反抗する気力もないのか条件を認める、ゆっくりれいむ、なんがか張り合いがないな。 「次に、散々人の家を散らかした罰だとして、しばらく働いてもらうからな」 「わかった わかったよぅ だからはやくおみずを… おびずをください!!」 条件に承諾したのを確認したので、俺は蛇口を思い切りひねった。 ジャアアアアーーー! 勢いよく冷たい水が噴出してくる。 その真下にいた、ゆっくりれいむに水がどばっと落ちてくる。 「おびずぅぅぅ!!!」 大きな口を限界まで広げ、冷たい水がわさびで腫れた口を癒してくれる。 もちろん顔中に水はかかるので、目にも潤いがすこしづつではあるが戻ってくる。 しばらくそれを見ていると、真っ赤に腫れていたゆっくりれいむの顔が普通の肌色に戻っていく。 顔色が良くなったのを確認すると蛇口の口を逆にひねり水を止める。 「ゆぅー」 命が助かったのを顔全体で安心しているのか、ゆっくりれいむの表情は非常に穏やかだった。 「良かったな、お水が飲めて、飲ませてやったんだから、明日かたは俺の言うことに従ってもらうぞ」 「ゆ? おじさんなにいってるの? ここはれいむのおうちだよ、おじさんはでていってね」 なんという事だ。この饅頭は、つい数分前の約束すら覚えていない。 それも自分に都合の悪いことは全て忘れる、どうしようもない脳みそを持ってやがる。 「ゆっくりでていってね おじさんはきらいだよ」」 … やれやれだ、俺は冷蔵庫に向かい、最後のわさびチューブを取り出す。 そして、水道にすっぽりはまっている、馬鹿饅頭の元へと戻っていく。 「おじさん はやくでていってね まずいものをたべさせる おじさんはだいきらいだよ」 身動きが取れないその状態でよくもそんなセリフが吐けるものだ。 つくづくこの馬鹿饅頭に感心させられる。 「口を開けろ」 そう俺はゆっくりれいむに命じた。 「ゆ? またおみずをくれるんだね! ゆっくりあけるよ」 馬鹿でかい口を、あーんとばかりに大きく開ける。 「今度はゆっくり味わってね」 わさびチューブをゆっくりれいむの舌や口の中に塗りつける。そりゃあもうべっとりと。 「じゃあな、俺は出て行くよ さよなら」 水道にはまったゆっくりれいむを後にし、俺は家を一旦出た。 何かを自分の舌や口の中に塗られた気がしたが、男が居なくなって、ご満悦のゆっくりれいむ。 「ようやくゆっくりできるね… ゆっ!」 再び先程の悪夢が蘇る。 口の中が大火事だ、眼球が燃えそうに熱い、汗が止まらない。 「ゆびゅおあああああああ!!!」 すぐに真上にある、蛇口をひねろうとするが、なんと自分ははまって動けない。 んーんー! と精一杯の力で脱出を図ろうとするが全然取れない。 その間にも、顔の中から地獄の業火のような痛みが続く。 「おぼぇえええええええええ!!! おじざん!!おじざん! じゃぐちをひねってぇえええ!!!」 しかしそこにはもう男の姿はない。それに自分が今さっきでていってねと催促したのではないか、今更遅い。 「うぶぉああああああああああああ!!! だずけでぇええええええええええええええええええ!!!」 その声を俺は玄関の外から聞いていた、もう少し、ゆっくり慎重に言葉を選ぶ餡子があればこうはならなかった のになと心の中で不遇に思った。 ゆっくりれいむは絶命する直前に幻覚を見た。 他のゆっくり達が綺麗な水のあるオアシスでゆっくりしているのに、自分だけは終わりのない灼熱の砂漠でさ迷っている。 どんなに足掻いても、オアシスには辿り着けずに永遠に砂漠をさ迷う自分。 その幻覚はそのまま今の現実に直結していた。 ほんのすぐ真上にある蛇口、しかし自分ははまっていて身動きがとれない。 水のあるオアシスの入り口は目の前だというのに。 「ゆぅー ゆぅー ゆぅ… ゆぅ」 息もたえたえになって意識が薄れてきた、それでも顔の中からの激痛はやまない。 もうこのまま死にたいが、激痛がまだ、死につれていってはくれなかった。 目はもはや眼球が飛び出そうだ、ぶちゅぶちゅと眼球の間から、中の餡子がちょっとずつ出てきている。 「いだいよぉおおお!! いだいよぉおおお!!」 ひたすら叫ぶのを繰り返す、ゆっくりれいむ、でも助けは誰も来ない。 「だれかだずげでぇえええええええええええええええええええええええええええええ!!!!!」 そして三時間後、俺は、ゆっくりれいむの悲鳴だけを聞くのも飽きたので友達の家へ遊びに行っていた。 帰宅して早速、洗面所を見にいく。 すると、燃え尽きたような黒い饅頭がすっぽり水道の流しにはまっているではないか、やはりこのまま絶命したか。 本当に心から哀れな生き物だと思い、その黒い饅頭の残骸を生ゴミ袋に捨てた。 自分の事ばかり考えて生きてきた結果がこれだよ! ゆっくりわさび 終 ゆっくりにわさびを食わせたらどうなるんだろうと、考えたSSです。 もちろん自分は、大量のわさびなんぞ食った事ないので、大量のわさびを食べた生物がどうなるのかなんぞ 知りません。 すべて自分の想像です。 でも多分、死ぬんだろうな・・・ このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/426.html
※「ゆっくり研究者のある1日」の続きです。1部設定がぶっ飛んでいるので、前作を知らない人はご注意を ※1部虐待されないゆっくりを含みます。 ※勧善懲悪もの(?)です 俺はゆっくり種の研究をしている。 一応個人的な研究になるのだろうが、「ゆっくり加工場」という施設で研究結果を高値で買い取ってくれるために最近では設備も整ってきた。 今日は、その加工所からの召喚を受けている。 "ゆっくり加工所商品研究課"という部門での定期発表会議に参加してほしいというものだ。 商品の発表に俺のような総合的研究者の意見など必要か?という疑問があるが・・・ しかし、その後"ゆっくり捕獲研究科"を見せてもらえることになっているため期待は大きい。 ゆっくりをうまく調教し、ほかのゆっくりたちを誘導させ、労せず捕獲する方法を確立したらしく、見せてもらうのがとても楽しみだ。 うちの助手は今回あまり役には立ちそうもないので、久しぶりに休暇をやることにする。 外出させるに当たり、研究所のマークがついた腕章を両腕に止め、守るべき事項を1つ1つ伝える。 「・・・・・後は、夕方までに必ず戻ること。理解できたか?」 こくりと頷く。 まぁ6割程度は理解できたはずだ。 各部屋を回り、異常がないことを確かめて俺は加工場へと向かった。 久しぶりに一人で外に出る。 はかせは加工場に1日中いるらしいから、今日はあそび放題だ。 どこにいこうかな。 何を食べようかな。 そんなことを考えながら庭から外へ飛ぼうとしたとき、視界の隅に動くものが目に入った。 「ゆ?おねーさんどこいくの?」 1匹のプチゆっくりがこっちに向かってはねてくる。 どこから出てきたんだろう? 食べようかな そう思いながら摘み上げてみると、見かけよりずいぶん重い。 あ、これ、いっぱいしゃべるゆっくりだ。 研究所内では知能向上の研究をするとき増量剤を注入してあんこ密度を上げるため、見た目よりずいぶんと重いゆっくりが出来上がる。 ゆっくりフランはそのことをすべて理解しているわけではないが、重い=語彙が豊富だということは分かっている。 このプチゆっくりにとっては幸いなことに、フランは朝ごはんを食べた直後だった。 今はおなかいっぱい。 おなかがすいたら食べよう そう決定し、摘んだプチを腕章にくくりつけておく。(普通なら尖ったものに刺しておくのだが、近くに無かった。羽に刺すと飛びづらくなる) 庭の真ん中でくつろいでいたゆっくりゆゆこを踏み台にし、颯爽と飛び上がるフラン。 「ゆー!!」いきなり踏みつけられたゆゆこが怒っているが、知ったことではない。 「たかーい!おねえさんすごーい!!」 腕にくくりつけられているにもかかわらず、空を飛んでいることに感動しているだけのプチ。 知能向上の実験体のはずなのだが、やはりプチはプチということなのだろうか。 山道 しばらくわさわさと飛んでいると、眼下に複数のゆっくりを発見した。 おもしろそう もちろん見逃すはずも無く、獲物を虐殺するために急降下していく。 ゆっくりまりさは耐えていた。 こすり付けられるゆっくりアリスの振動に。 「とかいはのありすのあいがすこしはわかったようね!!」 「ッ!・・ッ!う゛う゛う゛ぅッ!」 勝手なことを言いながら交尾を続けるゆっくりアリス。 「おわったらはやくかわってね!!」 そして眼前にもう1匹、自分のかわいい赤ちゃんたちを押さえつけているゆっくりアリス。 自分達の絶対的優位を確信し、勝ち誇った顔をしている 「まりさがいやなら、このあかちゃんまりさでもいいんだからね!」 この母まりさにとって不幸だったのは、赤ちゃんたちから少しだけ目を離したこと。 そしてゆっくりアリスが連携を覚えていたことだった。 一瞬の隙を突き、赤ちゃん達を人質に取り、交尾を強要して来るゆっくりアリス。 姉まりさ達は助けに行こうとしたところを一喝し、逃がしてある。 「んほおおおおおおぉぉぉっ!!」 「うぐううう゛ぅっ!」 母まりさは耐えるしかない。 かわいい赤ちゃんのため。 このままでは自分が死ぬだろう事を、うすうす感付いていたとしても。 特に必要の無い解説だが、ゆっくりフランには人間のような偽善心は無い。 このときターゲットにした2匹は、(発情していたため)普通よりつやつやしていてはりがあり、元気そうにうごめいていたもの。 対する残りの1匹は、色がくすんで萎れ気味、いかにもマズそうかつ反応も鈍そうであったため、捕食にも遊戯にも向かないと判断し、視界から早々に排除していたのだ。 思惑はどうあれ、そこには然るべき結果が残る。 フッと自分にのしかかっていた重みが消えるのを感じる母まりさ。 まだ絶頂していないはずなのにどいたアリスに疑問を覚え周りを見回し、違和感を覚える。 今まで自分と交尾をしていたアリスは、どこへ行った? ふと見ると、赤ちゃん達を抑えているアリスが驚愕の表情で固まっている。 ? ・・・!? (ゆっくりにとっては)目にも止まらぬ速さで空中につかみ上げられるアリス。 一番の優先順位である赤ちゃん達を見ると、ぐったりはしているが何とか生きているようだ。 「なにするの!?もうすこしでい・・・!!!!」 上方で、さっきまで自分と交尾をしていた方が抗議の声を上げかけ、なぜか途中で言葉を止める。 母まりさは、つかみ上げられる=人間という思考結果にたどり着き、上を見上げお礼を言おうとした。 そこには、自分達の最も恐ろしい天敵であるゆっくりフランがいた。 しかも体つきで、さらに普通よりもずいぶん大きい。 驚愕の表情で固まるまりさ。 いきなりすぐ隣まで来た"死"に、声も出せずに固まり続けるまりさ。 結果として、それがまりさの命を救った。 フランは捕まえた2匹をどうするか考えるのに夢中で、まりさ親子の存在など視界からも記憶からも完全に排除していたのだ。 最後までまりさ親子の存在に気づかないまま、獲物を両手にわしづかみにしたフランは意気揚々と歩いていった。 いきのいいのが2匹もとれた どうやって遊ぼうかな 上機嫌で両手の獲物を振り回しながら歩き続けるゆっくりフラン。 すぐに殺されなかったため、このゆっくりフランが自分を殺す気は無いと(何故か)判断し、信じられないことにフランに迫ってくるゆっくリアリス 「ふ、ふ、フラン!フランでもいいよ!ゆっくりしよ!」 発情した顔でフランの顔の方に向かってこようとするゆっくりアリス。 あきれて声も出なかったが、こんなのに貼り付かれたくは無いので掴む力を強めるフラン。 ビリッ! 結果、頬の少し後ろあたりが破れ、クリームがはみ出してきた。 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!い゛だい゛い゛い゛い゛ぃぃぃぃ!!」 ああ、もったいない いっぱい遊ぶつもりだったのに 「・・・ゆっくり死ね」 仕方ないので破れたところに牙を立て、中身を吸い出す。 「い゛い゛い゛ぎい゛い゛い゛ぃぃぃ!!な゛ん゛でえ゛でえ゛え゛え゛ぇぇぇえ゛ぇ!!」 チューペットのように口に咥えながら、ふと思いつきもう1匹の頭の皮を力任せにひっぺがす。 「ぎい゛い゛ぃあ゛あ゛あ゛ぁぁぁ!!な゛に゛ずる゛の゛お゛お゛お゛ぉぉぉ!!」 暴れまわるのを押さえつけ、腕にくくり付けてあったプチゆっくりを破れた頭からのぞくクリームの上に置く。 プチは少しの間悩んでいたが、食べろという仕草に気づき、少しづつクリームをなめていく。(同族喰いにはあまり抵抗がないようだ) 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁあ゛ぁ!!だべな゛い゛でえ゛え゛え゛ぇぇぇ!!!」 やはり中身は敏感らしい。 少しずつ舐め取られていく感覚に元の形が分からないほど歪むアリスの表情。 うん。やっぱりこっちのほうがおもしろい。 つぶすとすぐ終わっちゃってつまんない しばらく2匹の奇妙な食事が続いていたが、ふと思い出したようにプチが話しかけてくる。 「おねえさんまりさをたすけてあげたんだね!えらいんだね!」 ・・・まりさ? そんなのいたの? それも持って来ればよかったかなぁ。 2匹とももう終わっちゃいそうなんだもん 次からは見たものをその場で知らせてもらえるように、プチを肩に乗っけるフラン。 「ゆー!たかいね!いろんなものがみえるね!」 もちろんプチはそんな意図など気付くはずも無く、ただはしゃぐだけだったが。 ちなみに、プチの食べ残した方のアリスは頭の皮を縁って餅巾着のようにし、そこらにあった木の枝に刺してぶら下げておいた。 「お゛ろ゛じでえ゛え゛え゛ぇぇえ゛!!あ゛り゛ずはどがい゛はな゛の゛に゛い゛い゛い゛ぃぃいい!!」 あ゛り゛ず=アリス、どがい゛は=とかいは=理解不能 ・・・どうでもいいや ゆっくりアリスに興味が失せたゆっくりフランは、プチゆっくりを乗せ、また目的の無いままわさわさと飛び始めた。 人里 ゆっくり達は人々の生活に浸透し、もはや当たり前のような存在になっている。 ゆっくりをつれて歩いている人。 道端で固まってしゃべっているゆっくり達。 店にちょっかいをかけ叩き潰されているゆっくり・・・ ゆっくりフランはよくお使いに来る店の前に降り立った。 「お、助手さん!今日もなんか買ってってくれんのかい?」 最近は顔も覚えられ、"ゆっくり"ではなく"助手さん"で通っている。 首を横に振るフランに、店主のおじさんは 「遊びに来てくれたのかい? 待ってな。今お菓子を・・・」 そこに聞こえてくる騒音と怒号。 「チッ・・・またかよ・・・!」 心底うんざりといった表情で騒音の方へ向かっていく店主のおじさん。 騒ぎの中心は魚屋だった。 1匹のゆっくりれみりゃが魚を片っ端から投げ捨てているのだ。 「う~♪これはくしゃいからぽーい♪ これもぽーい♪」 にこにこしながらさも当然といわんばかりに投げ捨てていく。 「う~♪いっぱいぽーいしたからおなかすいたどぅ~♪ぷでぃんもってきて~♪ぷっでぃ~ん♪」 ふらふらと意味不明な踊りを踊りながらとんでもない要求をするゆっくりゃ。 菓子屋の主人がものすごい青筋を浮かべながら、精一杯の愛想笑いでプリンを持ってくる。 「ほーら、プリンだよー。あっちで食べようねー」 しかし、れみりゃはそのプリンを弾き飛ばす。 「これじゃないの!しゃくやのぷでぃんたべうの!しゃくやのぷっでぃんもってきて~!!」 群衆の中の一人がとっさに機転を利かせて 「さ、咲夜さんのプリンなら村の外れまで咲夜さんが持ってきてくれてるよ!村の外れまで一緒に行こうか!」 しかし、 「や~!ここでたべうの!しゃくやのぷっでぃ~んもってきで~!!はやくしないとしゃくやにいいつけちゃうぞ~!!」 そこかしこからため息が聞こえる中、フランの肩に乗っているプチがおじさんに声をかける。 「ゆっ! なんでみんなみてるの!? おこらないとだめだよ! おさかなさんがゆっくりできないよ!」 「あいつは紅魔館で飼われてるやつなんだ。そんなことして紅魔館のやつらに告げ口されたら今度はこんなもんじゃすまなくなるんだよ・・・」 おじさんは諦め半分でいう。 しかし、その答えはプチゆっくりには納得のできないものだったらしい。 「ゆーっ!ひとのものをかってになげたらだめなんだよ!ひとにめいわくかけたらだめなんだよ!」 あろうことかゆっくりれみりゃ本人(?)に直接文句を言ったのである。 「う~?」 その大声にこっちを向くゆっくりれみりゃ。 しかし、肩の上のプチには気付かなかったらしく、それを乗せているフランに突っかかってきた。 「ぎゃお~!たーべちゃうぞ~♪」 いつもこれをすればみんなこうさんする。 これをしたじぶんはさいきょうなんだ! 絶対の自信を胸に、偉い自分に向かって大声を上げたやつをやっつけようとよたよた向かっていく。 一方、フランはこの騒ぎにはあまり関心が無く、そろそろどこかに移動しようかと思い始めていた。 しかし、自分に向かってくるゆっくりれみりゃをみてふと思い出す。 そういえば、にくまんは食べたことあるけど、生きてるゆっくりれみりゃは食べたことないな どんな味なんだろう。 おいしいかな。 まずいかな。 ・・・食べてみよっと 「ゆっくり死ね♪」 ゆっくりれみりゃが前に突き出していた腕を掴んで引き寄せ、そのまま露出の多い顔にかじりつく。 「うっぎゃーーーー!!!!い゛だい゛い゛い゛ぃーー!!ざぐやあ゛ぁーーー~!!」 あ・・・おいしい ふつうの肉まんよりずっとおいしい 「い゛ぎゃあ゛あ゛ぁぁぁ!!れ゛み゛り゛ゃはだべも゛の゛じゃな゛い゛い゛い゛ぃぃ!!!」 「ざぐや゛あ゛あ゛あ゛ぁぁ!!わ゛る゛い゛びどがい゛どぅう゛う゛う゛ぅぅ!!ざぐや゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛!!!」 「うぎゃあああぁぁぁ!!いだいいいいぃぃぃ!!うっぎゃああああーーー!!!」 生まれて初めての反撃と激痛に、混乱して泣き喚くしかないゆっくりれみりゃ。 一方、想像以上の美味に、夢中でそこかしこを齧っていくフラン。 弄って楽しむことも忘れている。 そしてちゃっかりご相伴に預かっているプチゆっくり。 「お、おい!だめだ!そんなことしたら・・・」 「も、もう遅いんじゃ・・・?こんなこと紅魔館に知れたら・・・」 「助手さんよ!なんて事してくれたんだあんた!」 「所詮こいつもゆっくりかよ!」 そう言いながらこっちに敵意を向けてくる群集。 しかし、フランだって今までの会話を全く理解していなかったわけではない。 ちゃんと考えての行動なのだ。 (前提)告げ口されたら駄目 齧ってそのまま帰す→告げ口される=駄目 全部食べつくす→告げ口できない=良し(結論) 「うー・・・ぜんぶ食べる」 自分の少ない語彙から、何とか自分の意思を伝えようとする。 「ゆ? そうだよ! ぜんぶたべちゃえばわからなくなるよ!しにんにくちなしだよ!」 なんとプチがフランの言いたいことを代弁してくれた。さすがは知能強化型! 「あ・・・そ、そうだよな・・・完全に殺しちまえば分かんねぇんだよな・・・」 「見なかったって事にしときゃいいんだもんな・・・」 「あ、あれ? ここにゆっくりゃなんているか?」 「そ、そういえばいねぇな。そんなん見た事もねぇ」 「そうだよな・・・いねぇんだから何やったっていいんだよな・・・」 日ごろの鬱憤が爆発し、さらに群集効果でみんなトランス状態に陥っている。 いったん堰が切れれば後はもう流れるままだった。 「うらああああぁあぁ!!何もいねええええ!!」 一人が、ゆっくりゃの再生しかかっていた顔を思い切り殴りつける。 「おらああああ!いねえもんに何やったってかまやしねえええぇ!!」 一人が、大きく跳び上がり、ゆっくりゃの右腹部からおしりあたりを踏み潰す。 「うりゃっ!うりゃっ!うりゃぁっ!日ごろの恨み、晴らさせてもらうぜえええぁぁ!!!」 一人が、何かの串をゆっくりゃの体中に突き刺していく。 「ぶぎゅあ゛あ゛あ゛ぁ゛ぁぁぁあ゛あ゛!!いだいいだいいだい゛い゛い゛ぃぃぃ!!うっぎゃあ゛あ゛ぁぁぁーーーー!!!」 「ごべん゛な゛ざい゛い゛い゛い゛い゛ぃぃぃ!!ゆ゛る゛じでぐだざい゛い゛い゛い゛ぃぃい゛い゛!!」 「ざぐやーーーーー!!!ざぐぼふぁああああぁぁぁぁ!!あーーー!!あ゛ーーーーー!!!!」 日常で少しずつ溜まっていくストレスを、この場で一気に発散させる人々。 おそらく本人達も何をやっているのか自分自身で把握しきれていないだろう。 これが群集効果の恐ろしさである。 一方暴動の最初の方ではじき出された2匹。 人々の様子とゆっくりれみりゃの状態から、もうここにはいないほうがいいと判断する。 ちぎれて飛んできたゆっくりれみりゃの腕を齧りつつ、フランはまたあてどなくわさわさと飛び立った。 時刻は正午を少し過ぎていた。 帰路 日が強いので、そろそろ家に帰ろうかとわさわさ飛んでいると、とある畑にゆっくりが群がっているのが見えた。 「ここのひとはいつもおひるはいないんだよ!」 「ゆっくりできるよ!ゆっくりたべてね!」 「むーしゃ♪ むーしゃ♪ しあわせー!」 「むっちゃ♪ むっちゃ♪ おいちー♪」 どうやら家族連ればかりらしい。 子供達に、いい餌場を紹介しているところだろうか。 畑は・・・ 普通に掘れず、あたりに土を撒き散らす上に、少し食べてはほかの物に移るためものすごい惨状となっている。 「これはまんなかいがいはおいしくないからほかのをたべようね!」 「こっちはあきたからそっちのをたべるよ!」 もちろん、こんな都合のいい獲物をゆっくりフランが見逃すはずも無い。 赤ちゃんゆっくりは身がやわらかくていっとう美味しいのだから。 「ゆー?おねえさんはゆっくりできるひと?」 「ゆっくりできないならさっさとでていってね!ここはれいむたちのおしょくじばだよ!」 パニックに陥らないところを見ると、捕食種の存在を知らないらしい。 ゆっくり達の言葉など耳にも入れず、近くにいたちびゆっくりをつまみ上げる。 ・・・一回やってみたかった 「ゆー?」 いきなりつまみ上げられ、疑問の声を上げるちびゆっくり。 「ゆっ! おねーさんなにするの? れいむのあかちゃんをかえしてね!」 母ゆっくりは抗議の声を上げている。 つまんでいるちびゆっくりに牙で小さな穴を開け、そこから中身を吸い出していく。 「!! ゆ゛ぅーー・・・」 当然皮だけのぺらぺらになるちびゆっくり。 「れいむのあがぢゃんになにずるのおおおぉぉ!!」 ここで、皮だけになったちびゆっくりに息を吹き込んで元の大きさくらいまで膨らませ、皮を縁って潰して穴をふさぐ。 一見元通りになったちびゆっくり(の皮風船)を母ゆっくりの元へ戻してやる。 「ゆ? なんともないよ? おねーさんうたがってごめんね!」 ちょっとした違和感はあるものの、ちゃんと赤ちゃんが戻ってきたことに安心し、謝罪までしてくる母ゆっくり。 すでにフランは次のを摘み上げ、同じことをしているのだが、実害が無いと判断したゆっくり達はあまり反応しない。 「たかーい!おねえさんたか・・・ゆ゛ぅーー・・・」 ぷぅーっ・・・ 「キャッキャッ♪ おね・・・ゆ゛ぅー・・・」 ぷぅーっ・・・・・・・ 母れいむの子供、5匹全員を風船にして次へ向かうゆっくりフラン。 「ゆ。こっちのおやさいもおいしいよ!みんなたべてね!」 当然子供達からの反応は無い。 半笑いのような表情で、ただゆらゆらと転がっているだけである。 「ゆー? はやくこっちにきてね! ぜんぶたべちゃうよ!」 それでも反応しない子供達に業を煮やし、手近な子供の1匹にのしかかってみる母れいむ。 ぷしゅん 間の抜けた音を立ててぺらぺらになる自分のかわいい赤ちゃん。 「・・・・・・ゆ?」 あまりに理解不能な事態に反応もできず、とりあえずほかの赤ちゃんを起こそうとする母れいむ。 ぷしゅん ・・・ぷしゅん ・・・ぷしゅん ・・・ぷしゅん 「あ・・・ああああ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁぁあ゛あ゛ぁぁ!!!れ゛い゛む゛の゛あ゛がぢゃん゛があ゛あ゛あ゛ぁぁああ!!!!」 なんで!? ついさっきまで普通に飛び跳ねていたのに! ついさっきまで自分にかわいい笑顔を見せてくれていたのに!!! 「い゛や゛あ゛あ゛あ゛ぁぁあ゛あ゛!!あ゛がぢゃん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛ん゛!!」 自分の子供のむごたらしい死骸を前に、ただ泣き喚くしかない母れいむ。 友人のれいむの叫び声を聞きつけ、何事かともう1匹の母れいむと母まりさがそちらを向いた瞬間、フランは両方の子供達を両手に握りこんでいた。 そして先に後ろの気配に気付いて振り向いた母まりさの口に、れいむの子供達を1匹を残して全て放り込み、口が開かないように足で踏みつける。 「ん!?んーーーっ!!んーーーーっ!!!!」 続いて振り向いた母れいむの口にも同じようにまりさの子供達を放り込み、2匹の親ゆっくりが向かい合うように踏みつける。 「ゆー!くらくてせまいよ!ここからだちて!」 「くらいよー!こわいよー!」 「ゆー!ゆー!」 子供達の不安げな声を堪能した後、2匹の頭を上から強めに殴りつける。 「ゆっ!」ゴクッ、「ゆぐっ!」ごっくん、 反射的に口の中のものを飲み込んでしまう2匹の親。 程なくしてそれが何を意味するかを理解し、混乱に陥る2匹。 「ゆげええぇえぇっ!ま、まりざ!はやくれいむのあかちゃんはきだしてね!!」 「ゆぐうううぅぅっ!そっちこそ、はやくまりさのあかちゃんをはきだしてね!!」 何とかして相手の子供を吐き出そうとしながら、相手に吐き出させようととっ組み合う2匹。 その2匹を掴み、獣用の柵に向かい合うように突き通す。 「ゆぎゅうううぅぅうっ! いだいいいいいぃぃいぃい!!」 「ゆぎゃああああぁああぁっ!! やめでえええぇええぇ!!」 もだえ苦しむ2匹にさらに追い討ちをかけるように、残った子供1匹ずつを自分の子供が見えるように上から突き通す。 「ゆぐっ!」 「ゆぶっ!」 小さい体には太すぎる柵に貫かれ、親と違い即死するちびゆっくり2匹。 「あ・・・あああ゛ああ゛あ゛ぁぁぁあ゛あ゛ぁ!!」 「う゛わ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あああ゛ぁぁあぁあぁ!!!」 自分の子供の死骸と、自分の子供を食べた相手を見せ付けられ、もう言葉を発することも無く、血走った目と口を限界まで開いて叫び続ける2匹。 以前食べた串団子を思い出し、野菜保管庫で震えていた中ゆっくり達をごぼうに刺して団子3姉妹を作っていくフラン。 「ゆ゛い゛い゛い゛ぃぃっ!!」「いあだあ゛ああ゛ぁぁっ!」「いだいい゛いい゛いぃぃ!!」「や゛め゛でええ゛ぇぇえ!!」「あっ・・・これはこれで・・・ッ!!」 それぞれの悲鳴を楽しみながら、全て地面に立て、1本だけ持って飛び上がる。 ふと肩が静かなのを疑問に思い目を向けると、なんとプチゆっくりはこの騒ぎの中でグースカと熟睡していた。 「ゅー・・!!」 「ゅぁー・・・!!」 「ゆぅー・・・!!」 畑から聞こえてくるかすかな叫び声に満足しながら、かなり大きめの串団子を手に、ゆっくりフランは家への道をわさわさと飛んで行った。 程なくして帰ってきた畑の持ち主であるおじさんは、畑が荒らされているのを見て、またゆっくりかと思い憤慨しながら畑に入り絶句した。 そこには、畑の真ん中で何か野菜くずのようなものを前に叫び続けているゆっくり1匹。 柵の方に顔を向ければ、柵に貫かれ向かい合って相手の方を見ながら叫び合っているゆっくり2匹。 野菜保管所の前には、何の儀式なのかゆっくりを3匹ずつ通したごぼうが規則的に並んでいて、ゆっくりたちが見事なハ-モニーを奏でていた。 「なんっ・・・だ・・!?・・・こりゃあ・・・」 わけが分からないままに、とりあえず加工所の職員を呼び、その奇妙かつ不気味なゆっくりたちを引き取ってもらう。 何がどうなってあんなことになったのか、おじさんはこのあと1週間ほど考え続けることになるのだった。 加工所の新製品は面白いものが多かった。 商品化されたら助手にも1度体験させてやりたいものだ。 ゆっくりの捕獲方法は、手持ちの知能向上実験の実験体で十分できる内容だったから、今度いくつか出して試してみよう。 そんなことを考えながら家に帰り着く。 「ただいま。」 リビングでは、うちの助手がなにやら美味そうに食べている。 テーブルの上では、どこから抜け出したのかプチゆっくりが1匹、あんこをなめている。 助手には研究所内のゆっくりは食べないように言ってあるが、ほかのゆっくりに自分の食べ物まで分けているという行動に少し驚く。 「今日はどこに行った?楽しかったか?」 ほぼ食べ終わったそれを舐めながらうなずく。 ・・・しかしなんだありゃ? 長めのごぼうにみえるが・・・ と、 「おねーさんはいいひとだよ!ひとだすけもしたんだよ!」 プチゆっくりがいきなり喋り出した。 何だ、こいつも一緒に行ったのか・・・ん? それはどういう状況だ? こいつが自主的にゆっくりをお供に連れて行く姿なんぞ想像もできんが・・・ 「そ・・・そうか。それはいいことをしたな。偉いぞ」 とにかく人助けをしたことを褒めておく。 何をしたかは後でゆっくり聞かせてもらいたいものだが。 「んー・・・ゆ。」 舐め終わったものをこっちに差し出す助手。 ああ、やっぱりごぼうだ・・・人助けとやらのお礼にでももらったのか? これにゆっくりを突き刺して食べていたのか・・・何で? 「あ・・・ああ、ありがとうな」 何をしていたか全く分からないが、とりあえず礼を言ってごぼうをしまう。 まぁ洗えば食えないことも無いだろう。 さて・・・ 「俺は少し疲れたから部屋に戻る。見回りをしておいてくれ。」 そういって自室に戻る。 しかしやはり自由な時間は楽しかったのだろう、とても充足した顔をしていた。 定期的に何かで発散させてやれば、作業効率も上がるかも知れんな・・・ しかしどうやって暴れさせれば・・・・・・あ。 俺はゴミ箱から"Y-1グランプリ"の出場依頼を探し出し、内容を読む。 うん、これならかなり発散できるんじゃないか? まぁ死にそうになったら退場覚悟で引き摺り下ろせばいいんだしな。 俺は"出場"の項目に丸をつけ、送信物専用箱に入れてから研究冊子をつけ始めた。 終わり 自重できませんでしたOTL 最初はゆっくりの視点&心情でゆっくりを虐待していくという話だったんですが、難しいですね。1回寝てから書き直し始めたらストーリーも設定もひん曲がりました 前作の感想をくれた方、ありがとうございました。 少し前に議論されていたようですが、個人的には批評批判はためになるのでどんどん書いてほしい方です。 またいろいろな人の設定を無断拝借しました。 申し訳ありません 精神的な虐待や、ゆっくりの心情がよく出ている作品を書いてる人をとても尊敬していて、自分もいつかこういうのを書きたいなぁと思っています。 次に自重できない虫が湧いたら、精神的虐待か↑のゆっくりフランの調教などを書こうかなぁと・・・やっぱり自重します このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/1585.html
初投稿、虐待描写少なめ。 ゆっくり包丁とお兄さん 「おきゃあしゃああん!ゆんやぁぁぁぁ!ゆんやぁぁっぁ!!」 「お姉しゃん!?こっちこにゃいでね!?こにゃいでぇぇぇ!!」 ガラス製のボウルにいれられたゆっくり達が体をぐねぐねとくねらせながら泣き叫んでいます。 知能の低い赤ゆたちでも親ゆの無残な姿を見れば、自分達が何されるかぐらいは解るのでしょう。 私はゆっくりれいむだった物からゆっくりと「ゆっくり包丁」を引き抜くと、ボウルの赤ゆに手を伸ばします。 「まりしゃはおそらを・・・ゆぴぃぃぃぃ!!」 「ゆわぁぁ!いもうちょー!」 私はその小さなゆっくりまりさに包丁を・・・ 私が「ゆっくり包丁」に出会ったのはもう5年も前のこと。 料理学校に通うことになった私に、父が包丁を買ってくれました。 次の休みの日に一緒に買いに行こうと父が言ってくれて、休みの日が待ち遠しかったのを覚えています。 そして当日、街の金物屋に行った時その包丁はありました。 野菜を切る包丁、お魚を切る包丁、普通の包丁、それらと一緒に並んでいたその包丁は、 今まで見たことのない不思議な形をしていました。 「それはね、ゆっくり専用の包丁さ」 隣にいたお兄さんがそう言いました。 「ゆっくりはね、苦しめば苦しむほど甘みと弾力が出て美味しくなるんだ、 余計な傷が付かないような鋭い刃、あえて傷を付ける鋸のような刃、 側面で潰したり叩いたり出来るようにそれなりの厚さと重さにしてある」 そう教えてくれました。 「この包丁に興味を持つなんて、君は虐待おn・・・いやいや料理人としての見込みがあるね」 そう言って私の頭をポンと叩くとお兄さんはお店を出て行きました。 その日は普通の包丁を買って貰ったのですが、私は「ゆっくり包丁」の事が気になって仕方ありませんでした。 ゆっくりって美味しいのかな、どのくらい甘くなるのかな、包丁高いかな、そんな事をいつも布団の中で考えていました。 今思えば、その時からもう私はその「ゆっくり包丁」に魅せられていたのです。 昔のことを思い出しながら私は下ごしらえを終えました。 さっきまではやかましかった厨房もいまでは静まり返っています。 料理に使えない親ゆの死骸はゴミ袋へ、皮と餡子そして中枢餡を分けた元赤ゆ達はそれぞれ別の容器へ。 「下ごしらえは済んだかな?それじゃ、そろそろ店を開ける準備をしようか」 「はい、山越オーナー」 料理学校のゆっくり科で優秀な成績だった私は、学校からの紹介でこの料理店で修行中です。 この店のオーナーはなんとあの時のお兄さん、私に「ゆっくり包丁」を教えてくれたお兄さん。 ここはレストランヤマゴエ、都内で有名なゆっくり専門の料理店です。 おしまい
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/1786.html
道を歩いていたら茂みから体高30cmほどの変なものが飛び出してきた。 「「ゆっくりしていってね!」」 姿を現したのはゆっくりと呼ばれている下膨れの顔饅頭が2匹。 一方は赤いリボンを頭にのっけた黒髪で、もう一方は黒いとんがり帽子と長い金髪が特徴的なゆっくりだった。 どちらも見ているだけで妙にイライラさせられる笑みを浮かべている。 「「ゆっくりしていってね!」」 聞くところによると、こいつらの仲間はこの言葉を聞くと同じように「ゆっくりしていってね!」と返すらしい。 突然の状況に呆然として、その返事をしなかった俺の態度を無視しているものと勘違いした2匹は再びその言葉を口にする。 今度はさっきのような純然たる笑顔ではなく、少し目元がつりあがっていてどこか怒っているようにも見える表情で。 ぴょんぴょんと意味も無く跳躍を繰り返しながら、何度も「ゆっくりしてい」ってね!」を連呼している。 「ゆっくり・・・ゆぎゅ!?」 あまりに鬱陶しいので思わずより近くにいた赤いリボンを付けた方を軽く蹴り飛ばしてしまった。 蹴られたゆっくりは4mほど吹っ飛ばされ、4mほどバウンドし、更に4mほど転がって計12mほど向こうまで飛んでいく。 思った以上に軽く、弾力があり、転がりやすいその体ならではの飛距離だろう。これは面白い。 「ゆううう!ゆっぐぢーーー!ゆっぐぢでぎないよおおおお!」 「ゆーっ!まりさのれいむになにするのー!?」 なるほど、黒髪のほうはれいむで、金髪のほうはまりさと言うらしい。 れいむは蹴られた痛みのせいか身動き一つとれずに泣きじゃくっている。 一方のまりさは俺の前に立ちはだかると空気を思いっきり吸い込んでぷくぅっと頬を膨らませた。 そうやって威嚇しているつもりらしいが人間相手には何の意味も無い。 まりさの前にしゃがみこむと右手で頬に平手打ちを食らわせ、即座に反対側の頬にも平手打ちを食らわす。 「ゆうううううう、ゆぎぃ!・・・ゆぎゅ!・・・ゆぎゃ!・・・ゆげぇ!」 俺が手を振るたびにまりさの膨らんだ頬に挟まれた口から呻き声と空気が漏れ出していく。 右!左!右!左!右!左!右!左!右!左!右!左! 右!左!右!左!右!左!右!左!右!左!右!左! 右!左!右!左!右!左!右!左!右!左!右!左! 何度も何度も平手打ちを繰り返し、掌が痛くなってきたところで手を止めた。 「ゆ、ゆ・・・ゆびぃ・・・」 「や、やめてえええええ!でいぶのまりさをいぢめないでえええええええ!」 頬は腫れ上がり、顔中青だか赤だかわからない色に染まり、白目をむいて泡を吹くまりさは一目でわかるほどに満身創痍。 やりすぎたか、と少し後悔していると今度はようやく痛みから立ち直ったれいむがまりさを守るべく声を上げてこちらへやってくる。 ぽよん、ぽよん・・・と1m進むのに5秒はかかる信じられないほどの鈍足で吹っ飛ばされたわずか12mの距離を1分かけて戻ってきた。 そうして、ようやくまりさの前に立ちはだかったれいむは荒い呼吸を整える暇もなく俺に体当たりを仕掛けてきた。 「ゆーっ!ゆんっ!ゆゆーっ!」 顔を真っ赤にして自分の大事な仲間を傷つけた俺に何度も何度もぶつかって来る。 弾かれても弾かれても起き上がってはキッと俺を睨みつけて体当たりを繰り返すその姿は実に果敢だ。 しかし悲しいかな俺に全く効いていない。 それでもれいむはぶつかっては弾かれ、起き上がってはまたぶつかるを繰り返し続ける。 その目にはうっすらと涙がにじんでいて痛みを必死に堪えていることが伺える。 なんだか気の毒になってきた俺は何度目かの体当たりを仕掛けてきた際につま先で引っ掛けるように蹴り上げてやった。 「ゆゆっ!た、たかいよーっ!?」 突然の浮遊感に驚いたれいむは下を見た瞬間に、自分が空高く舞っていることを理解した。 その高度約4m。同時にその高さから落下すれば相当痛いこと理解し、恐怖のあまりに悲鳴を上げる。 「ゆびぇえええええええええええええ!!?」 そうして最高到達点に達したれいむは、徐々に地面めがけて落下していく。 やがてやってくる痛みに備えて目をきつく閉じ、身を小さくしている彼女の体を小刻みに震えている。 「ゆううううう・・・ゆぅ?」 しかしいつまで経っても痛みはやってこなかった。 そのことに疑問を感じたれいむが恐る恐る目を開けると、そこには俺の顔。 流石にこれは死ぬかもしれないと思った俺は落下する前こいつを受け止めたのだ。 ようやくその事を理解したれいむが満面の笑みを浮かべた瞬間、思わず彼女を放り投げた。 「ゆうううううううううううううううううううううううううううう!!?」 ただし、あくまで低空で、バウンドと転がった分によって移動距離を稼ぐようなそんな投げ方。 れいむは俺の狙い通り、あまり舗装されていない地面をごろごろと転がっていった。 「ゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・」 「れいむうううううううううううううう!?」 遥か彼方、と言っても50mほどなのだが、まで転がっていったれいむの名を叫ぶのは頬の痛みから立ち直ったまりさ。 散々一方的に酷い目に合わされ、どんな抵抗も無意味だと理解したまりさは攻撃を仕掛けてくることも威嚇することもしない。 ただ、目から大粒の涙をぼろぼろと零し、きゅっと結んだ口からは嗚咽が漏れている。 「ゆっく・・・まりさたちなにもぢでないよ・・・もうやべでよ、ゆっくぢさせでよぉ・・・」 その声がどんどん涙声になってゆき、やがて泣き声になる。 体裁も見栄も何もかもかなぐり捨てて、まりさはただひたすら大声で泣きじゃくる。 そうすることで「お願いだからゆっくりさせて」と必死に訴え続けていた。 「ゆわあああああああん!ゆうううううううううん!ゆっぐ・・・ゆぅ・・・」 それだけしか出来ない彼女のその姿のなんと弱々しいこと。 何の意味も無く自分達を痛めつけた悪党相手にただ泣きじゃくって許しを請うとしか出来ない。 哀れんでもらって、それから見逃してもらう・・・それだけが唯一の生き残る道なのだ。 「ゆえええええええええええええん!ゆああああああああああん!ゆぎぃ・・・ゆぐぅ・・・」 正直、その泣き声が鬱陶しくなってきた俺は大きく開いた口に足を突っ込むと舌と下あごを力任せに踏みつける。 必死の命乞いを無視されたまりさは恐怖と絶望と苦痛と不快感で白目を剥き、ほぼ塞がれた口で必死に何かを喋っている。 それが恐らく相も変わらずの命乞いであることは容易に想像がつくが、それに従うくらいなら最初から何もしない。 まりさの懇願を完全に無視して口内をひとしきり蹂躙しつくしたところで、俺はまりさをれいむめがけて蹴り飛ばし、2匹を解放してやった。 「まりさああああああ・・・!」 「れ、れいむううううう・・・!」 涙を流しながら頬をすり寄せ合って、互いの無事を喜ぶ2匹。 しかし、俺がゆっくりと2匹のほうに歩いてくることに気づくと、必死の形相で茂みの奥へと逃げていった。 「もうやだ!おうちかえる!」 「ゆ、ゆっくいかえるよ!」 もうこれ以上虐めるつもりは無かったのだが、その言葉を聞いた瞬間に食指が動いてしまった。 あいつらの家とはどんなものなのだろうか?他にも仲間がいるのだろうか? そんな好奇心に駆り立てられて、非常に緩慢な動きで近くの森へと向かうれいむとまりさのあとを追いかけることにした。 「ゆっくりかえったよ!」 「「「「おきゃーしゃん、ゆっくりちちぇっちぇね!」」」」 「「ゆっくりしていってね!」」 結論から言えば、この家族は群れなどに属していないようだった。 その代わり、愛らしい子どもが4匹もいるようだ。内訳はれいむ種もまりさ種も2匹ずつ。 れいむ達の巣は彼女達の体格同様に小さくて、人間の俺では中に入れそうに無い。 お菓子の一つもあれば簡単におびき出すことが出来そうだが、今は何も持ち合わせていないので諦めることにした。 「しかし・・・ゆっくり虐めか・・・」 新しい楽しみを見つけた俺は足取り軽くスキップをしながら来た道を引き返した。 ‐‐‐あとがき‐‐‐ シンプルさを重視したので子ども達への虐待はなし。 ストレスで寿命がマッハだぜ、と言う方は脳内でどうぞ。 byゆっくりボールマン このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/377.html
前 「こっちににげたよ!」 「ぜったいつかまえてころすよ!」 「ゆっくりできないにんげんはしね!」 ゆっくりの叫び声が廃鉱山の闇に溶けるように響く。 私が今隠れている食料庫の扉越しに聞こえるぐらいだから、相当な大きさで怒鳴っているようだ。 リーダーまりさと見張りの巨大れいむを殺されたために相当ご立腹の連中は巨大ゆっくりも通常ゆっくりも総動員してゆっくりできない人間を始末しに掛かっている。 その人間とは私のことだ、困ったことに。 今、こちらに接近中の連中は声の高さから判断するに、巨大1通常2の混成部隊らしい。 ガヤガヤと騒ぐ声がさらに大きくなってきた。 ゆっくりが跳ねながら移動するときに餅をつくような音が扉の前で止まった。 こちらは陰に隠れているために分からないが、どうやら巨大ゆっくりが扉に付いた小さな窓から中の様子を伺っているようだ。 「おにいさ~ん。もうあきらめてでてきてね~。いまならゆるしてあげるよ~。」 こちらを見つけて得意になったような声だが、実際のところ連中はこちらを見つけていない。 あわてて出てきたところを袋にしようとする程度の知能はあるらしい。 「ゆっ!ここにはいないみたいだね!むこうをさがそうね!」 「まりさはおおきくてかしこいね!これならすぐににんげんをみつけられるよ!」 でも見つけられてねえじゃん。流石通常ゆっくり、能天気なもんだ。 餅つき音が十分に遠ざかるのを待って、物陰を出て扉に近づく。 先ほど、巨大ゆっくりにフェイントを掛けられてすぐに扉に近づいた結果、こちらの姿を見た巨大ゆっくりが突撃してくるのを咄嗟に撃ち殺し、その音で更に多くのゆっくりを呼び寄せてしまった為に十分に注意しながら進む。 どうやら本当に向こうを探しに行った様だ。 ヒカリゴケがわずかな光を提供する通路に扉を開ける音が吸い込まれていく。 細心の注意を払いながら左右を素早く確認し、出口へ向かった。 何かを食べている通常ゆっくりのペアの後ろを慎重に通り過ぎ、巨大ゆっくりの巡回を隠れてやり過ごして進んだが、 後で吹き飛ばそうと先ほど決意した巨大あかちゃんゆっくりの寝室に差し掛かった所である物が視界に入ったために素早く姿勢を下げ、曲がり角に隠れる。 巡回をサボり中の巨大ゆっくり3匹が寝室に向いて何事かを話しかけていた。 「ゆー、べろべろばあ!」 「れいむのあかちゃん!もっとゆっくりしてていいよ!」 「こわいにんげんからまもってあげるね!」 困った事にこいつらのいる寝室の前を通らねば外には出られない。 手持ちの小銃は5発装填済みで巨大ゆっくりを倒すためには最低3発が必要。 距離は十分に離れているので2匹射殺するなら何とかなるが、発砲炎を見られたが最後、突進してきた3匹目に俺は踏み潰される。 畜生。何でデカいとはいえゆっくり如きを警戒せねばならないんだ。 どうする?どうやって多数の巨大ゆっくりを始末する? そう思いながら悩んでいると、隣の里が少数の戦力で多数の巨大ゆっくりを屠った事を思い出した。 連中はどうやって交戦した?こっちの集落と違って隣の里に重火器は無い。 バリスタで交戦したとかいう話だが、連射速度と射程から考えて全速突撃するゆっくりを5回撃てれば御の字だろう。それでは十分に数を減らす前に蹴散らされる。 一体どうやって巨大ゆっくりの足を止めたんだ? 荷物から資料を素早く取り出し、交戦記録の記述を読む。程なくして目的の箇所を発見。 死んだゆっくりの帽子で同士討ちを誘発したようだ。 よし、これを応用させてもらおう。 実行に必要なゆっくりを調達するために物陰から離れ、来た道を引き返した。 鉱山時代には採掘された鉱石をトロッコに積載する部屋だったそこは現在、食事の時間であれば多数のゆっくりで賑やかとなる「ゆっくり食堂」となっていた。 破滅的に下手糞な平仮名(というより、文字であるかどうかすら怪しい)を書かれた札がかかった入り口の更に奥、昼食の時間が終わった為に静まり返った食堂に二匹の通常ゆっくりがいた。 「はぁ…はぁ…おいしー!」 「ゆっ!まりさ!しずかにしなきゃだめだよ!」 摘み食い中らしき2匹は他のゆっくりに見つかることを恐れ、音を立てぬように注意を払っていたが、ゆっくりの本能に抗うことはなんとも難しかった。 慌てて周囲を見回す2匹だったが、幸いな事に気づかれた様子は無い。 体を食料に向けて食事を再開する。 「ゆっくりしずかにたべようね。」 「む…しゃ…む…しゃ…」 食事はすぐに中断した。入り口から地面を踏みしめる音が聞こえてきたのだ。 モチモチとした体を飛び跳ねさせて移動するゆっくりの立てる音ではない事をれいむは知っていた。 これは人間が歩くときの音だという事もれいむは知っている。 「ゆっ!みん…ゆっ!」 入り口を向いたれいむは大声で助けを呼ぼうとしたが、そもそも自分たちがここで何をやっているか、それを見た仲間が自分たちをどうするだろうかという事に気づき慌てて口をつぐむ。 「れいむ?どうし…ゆっ!」 遅れてゆっくりまりさが入り口を向き、人間の姿を認めて驚く。 2匹は視線を交わし、ヒソヒソと話し合ったあと、侵入者の方を向いてこう言った。 「「おにいさんもいっしょにたべていいからしずかにしてね!」」 「断る。」 「「…ゆ?」」 侵入者の返答の意味が分からず体を傾けて疑問の声を上げる2匹。 彼女たちにとってこの提案は自分たちの取り分を減らすことになる痛い物だったが、それだけに必ず効果があるだろうという物だっただけに拒否されたことが理解できなかった。 残念なことに、提案を考えたのは結局餡子であるという事だった。 2匹が正気に戻ると侵入者が近づいて来たところだった。 「おにいさん、ほしいならあげるからゆっくりまってね。」 「も~くいしんぼさんだねおにいさん!」 提案が受け入れられたと勘違いしたセリフ。しかし、侵入者は足を止めずに近づいてきた。 まるで無視されたように感じたゆっくりまりさが膨れる。 「おにいさん!はなしきいてるの?!ゆっくりとまってね!」 それでも侵入者は足を止めない。聞こえていないかのように反応すら見せない。 まりさはついに実力行使に出た。 「ゆっくりとまってね!ゆっくりとまってね!ゆっくりとまっヘェヒュ!!」 侵入者の足に体当たりを開始したまりさだったが、3回目の体当たりを放つためにセリフを放ちながら飛んだとき、妙な声を上げて彼女は落ちた。 れいむは訳がわからなかった。 いっしょにゆっくりする筈のお兄さんはまりさに棒を突き刺したような体制だったし、さっきまで元気に跳ねて体当たりしていたまりさはピクりとも動いていなかったから。 「お、お兄さん…。まりさをどうしたの?」 「こうしたんだよ。ゆっくり見てね。」 れいむの疑問に答えた彼はまりさから白色の細い板──三十年式銃剣を引き抜き、まりさを足でれいむの方に押しやった。 ぐにゃりと歪みながらまりさは半回転し、れいむの方を向く。 「ゆぅーーーーーーーーーーーっ!!!」 まりさの額がぱっくりと裂け、そこからどろどろと流れ落ちる餡子を見たれいむは悲鳴を上げる。 「まりさっ!ゆっくりしていってね!ゆっくりしていってね!」 「れ…ぃむ…。この…ひとは…ゆっく…りできな…ガプッ!!」 「はいそこまでー。永遠にゆっくりしてね!」 まりさが最後の力を振り絞って親友に警告を発しようとしたが、頭上から差し込まれた銃剣に途中で阻止された。 「まりさ゛あ゛あ゛ぁ゛ーーーーーーーーっ゛!!!」 もはや摘み食いを仲間に見られる事など忘れ泣き叫ぶゆっくりれいむ。 しかし彼女が悲しみを完全に吐き出すことはできなかった。 正面から高速で襲来したつま先が彼女を乱暴に蹴飛ばし、壁に叩きつけられたのだ。 「ゆっくり静かにしていってね。すぐ終わるから。」 「ゆっ…ぐっ…まりさ゛あ゛ぁ…。」 れいむは甘い死臭を放つまりさの帽子を強制的に口の中に入れられた後、猿轡をかまされ喋れなくなった。 自身の運命を悟った彼女は必死の抵抗を試みるが、その抵抗が重心を移動させて転がるというものでは何の意味も無かった。 「じゃあ、今から仲間のところでゆっくりしようね。」 「ん゛ー!ん゛ー!ん゛っん゛んう゛うう゛う゛んう!」 リボンを捕まれ持ち上げられたれいむは痛みに耐えながら必死に揺れて自己主張をしたが聞き入れられなかった。 思い付きを実行する為に必要な物を入手した彼は、あの巨大赤ちゃんゆっくりの寝室入り口を見渡せる物陰に戻ってきて再び隠れた。 「れいむのあかちゃんはほんとうにかわいいね!ずっとみててあげるね!」 「まりさのあかちゃんもかわいいよ!」 「「おかあしゃん!ゆっきゅりしちぇっちぇね!!」」 彼は未だに寝室の前で子供に話しかける巨大ゆっくりに呆れながら、持ってきた痣だらけのゆっくりれいむを手元に置き、腰を下ろして小銃を構える。 彼はれいむの猿轡がゆるくなっているのに気がついていなかった。 ──れいむがしゃべれるようになってるのにきがつかないなんてほんとうにばかなにんげん!これでゆっくりできるよ! 「みんなー!れいむをはやくたすけてね!」 ゆっくりれいむのくぐもった救助要請に一斉に振り向く巨大ゆっくり。 れいむの口からただようゆっくりの死臭はまだ届いていないようで、巨大ゆっくりはれいむを助けようと突進を開始した。 「ゆゆ!いまわるいにんげんからたすけるよ!」 「ゆっくりまっててね!もうちょっとだよ!」 「ゆっくりできないにんげんはしね!」 巨大ゆっくりが3匹で己の方へ突っ込んでくるのはそれなりに恐ろしい物である筈なのに、彼は全く関心が無いように引き金を引いた。 「ゆぶっぅ!」 「まりさっ!まりさのかたきはれいむがトビャッ!」 3発の銃弾を受けて先頭を進んでいた巨大まりさが粉砕され絶命する。 それを見た巨大れいむが気勢を上げるが、更に飛来した銃弾で全身を貫かれて速度をガクンと下げる。 しかし、最後尾を進んでいたため無傷の巨大まりさが2匹を追い越して突撃を継続する。 「もうばーんってできなくなったね!あきらめてゆっくりしんでね!」 勝ち誇った顔で勝利宣言をする巨大まりさ。 その時、正面から何かが闇の中から飛んできてまりさの顔に当たり、ぼよんと跳ねて地面に落ちた。 飛んできたのは捕まっていたゆっくりれいむだった。 「ゆっ!れいむをかえしてももうおそいよ!ゆっくり、し…ね…?」 「れいむをなげるなんてばかなおにいさん!まりさ!あんなやつゆっくりころしてね!」 れいむの口から覗く黒い物体とその匂いに気が付いた巨大まりさが表情を変えていく。 勝利宣言のニヤけた笑顔から憤怒の表情へと。 「ゆっくりしねえぇ!」 「まりさ!にんげんはこっちじゃないよ!ゆっくりきづいてね!」 れいむの体から漂う甘い死臭で同属殺しと判定した巨大まりさがれいむを潰しに掛かる。 当然、黙って見ているれいむではなく必死で逃げだした。 彼は巨大ゆっくりと通常ゆっくりが追いかけあってる間に小銃を再装填し、再び構える。 銃声が3つ響き、無傷だった巨大まりさが物を言わぬ餡と皮の複合体へと変えられた。 「おにいさん!れいむをたすけてくれてありがとう!」 そのお兄さんが自分に何をやったかもう忘れたゆっくりれいむは4発目の銃声を最後に動かなくなった。 最後の1発で巨大れいむの息の根が止められ、彼の前を阻むゆっくりはいなくなった。 彼は立ち上がって静まり返った巨大赤ちゃんゆっくりの寝室へと入って行きこう言った。 「君たちには悪いけど君たちの親が悪いから死んで貰います。ゆっくり親を恨んでね!」 大小混合編成の赤ちゃんゆっくり達は入ってくるなりそう宣言した人間の言うことが分からず、頭に?を浮かべたような表情をしていたが、人間に一番近かったゆっくりが刺し殺された時点で狂乱の渦に落ちた。 「いやた゛あああぁぁあ!」 「まりし゛ゃは゛こ゛ろし゛ゃないち゛ぇ!やめち゛ぇ!」 「ゆ゛ーゆ゛ーゆ゛ーゆ゛ー」 それから3分後。 かつて赤ちゃんゆっくりが最も安心できるゆっくりプレイスだった筈の寝室は、赤ちゃんゆっくりの死骸が転がる餡子の池地獄と化していた。 入ってきた人間がまた1匹、ゆっくりを捕まえて刺し殺す。 その周りには鋭利な刃物で殺傷された赤ちゃんゆっくりや踏み潰された赤ちゃんゆっくりが3ダース近く転がっていた。 一部のゆっくりは息があるのか「ゅ…ゅ…」と呻いていたが、どう見ても助かりそうには無かった。 生きている赤ちゃんゆっくり、その数およそ120匹は部屋の隅に固まって泣き、怯えながら震えていた。 更には自分こそ奥へ行こうと他の赤ちゃんを押しのけ、自分より小さい赤ちゃんを踏み潰しているゆっくりまでいる。 人間がそちらへ近づいていくたびに、殆どの赤ちゃんゆっくりが意味の無い単語を叫びながら逃げて行き、運の悪い赤ちゃんゆっくりが公開処刑されていた。 これだけの数が居れば人間に勝てそうなものだが、彼に向かっていくゆっくりは一匹も居らず、ただ逃げ惑うばかり。 そのような勇気ある赤ちゃんゆっくりは真っ先に死骸となっていた。 さらに2分経過して赤ちゃんゆっくりの数が3桁を切ろうかという頃、赤ちゃん達の耳に待ち望んでいた声が聞こえてきた。 頼もしい群れのリーダーと、彼女が引き連れる巨大ゆっくりの声だ。 急に強気になった赤ちゃん達は偶然にも彼女達の親の1匹が取った行動を再現した。 勝利宣言である。 「ゆゆ!おにいさん!りーだーにつかまってころしゃれてね!」 「りーだーはつよいんだよ!おにいしゃんなんかかちぇないね(わらい)!」 「あきらめてあやまっっちぇね!」 しかし、彼は赤ちゃんゆっくりの言葉に聞く耳持たずといった様子で寝室から出て行った。 「にげちゃうんだ!あかちゃんあいちぇににげちゃうんだ(わらい)!」 「しゅごしゅごにげてね!まけいぬ!」 「おうちでゆっくりないちぇいっちぇね!」 「りーだーからはにげられにゃいよ!ゆっくりつかまっちぇね!」 寝室から出た彼は荷物から最後のセムテックスを取り出し、信管を幾つか差し込んでデトコードを素早く伸ばしていく。 彼が角の向こうに姿を消すのと、彼を始末に来た巨大ゆっくり一行の先頭集団が寝室入り口に差し掛かったのはほぼ同時だった。 その瞬間、セムテックスが起爆してあまり頑丈ではない通路に強烈なダメージを与えた。 自身の重量とその上の土を支えきれなくなった通路が急速に崩壊し、寝室で惨殺されている赤ちゃんゆっくりを見てショックを受けていた巨大ゆっくりが押しつぶされた。 彼は通路が塞がれたのを確認した後、悠々と外へ出て行った。 土砂の向こうから僅かに漏れてくる、ゆっくりがこんな事をした人間のおうちは必ず破壊すると宣言しているのを聞いてから。 仲間の巨大ゆっくりに殺されかけたものの九死に一生を得たリーダーまりさは目の前の光景を呆然として眺めていた。 切り札の精鋭巨大ゆっくり部隊があの人間を殺そうと加速したとき、爆発が起こって天井が崩れ、彼女の切り札が生き埋めになってしまったのを。 「な、なんでぇ…れいむ!まりさ!」ぱちゅりー!おきてよ!ねえへんじをしてよ!」 「まりさ…もうしんじゃってるよ…ゆっくりさせてあげなきゃ…」 「そんなこといわないでよ!れいむもまりさもぱちゅりーもいきてるよ!へんなこといわないで!」 切り札にして親友のゆっくりを一挙に3匹も失ったまりさは暫くの間、錯乱しながら叫んでいたが徐々にその顔が赤く染まってきた。 まりさにとって己の命と同じぐらい大切だった仲間を無残に殺戮した人間に憎悪を抱いたのだ。 「ゆるさない…まりさのしんゆうをころしたにんげんはぜったいにゆるさない!ゆっく゛りさ゛せ゛す゛にこ゛ろし゛てやる!!にんけ゛んのおうち゛をにと゛と゛ゆっく゛りて゛き゛ないようにし゛て゛やる!!」 復讐に燃えるまりさは崩落箇所を修復した翌日の朝、発言を実行に移すこととなる。 「連中の侵攻予想時刻は明日午前9:00と思われます。」 日が落ちたために電灯で照らされた広い部屋。 その入り口から反対側に設置された黒板の前で一人の男が何か図らしき物を描きながらそう発言した。 セムテックスで巨大ゆっくりを生き埋めにしてきた彼だ。 「この時刻想定は連中が洞窟の復旧にかかる時間、巨体で森林を通過する時間を入れて計算してありますから、まずまずの正確さと思われます。」 「それで、どうやって対応するつもりなんだ?流石に陣地防御だけでは難しいだろ。最低200匹の想定なんだろ?」 彼が黒板の『廃鉱山』と書かれた箇所に『08:00』、『主防御線』と書かれた所に『09:00』と記入しながら発言したとき、1人の男が疑問をはさんだ。 「そうですね。確かに陣地だけじゃ厳しいです。なので、連中が巣から出てきた時点で砲撃を開始します。」 「砲撃?加工所の連中か?」「またあいつ等に頼るのか?良い連中ではあるんだがな。」 「廃鉱山入り口を見渡せる場所に夜明けと同時に観測班が移動する予定です。使用装備は毎度おなじみ155ミリ榴弾砲3門を予定しています。」 彼は質問者に答えつつ、黒板の『主防御線』より下に長方形を書き、その中に塗りつぶされた小さい丸を書く。 「連中がこちらに接触するまでに砲撃を継続し、100は削るつもりです。」 「あの巨体だろ?効果が通常のゆっくりよりも落ちるというのは?」 「勿論想定しています。加工所研究開発部に増援を要請した所、彼らは快く応じてくれました。」 そう言いながら、『主防御線』の所に長方形と横に潰れた楕円を組み合わせた記号を書き込み、その上に縦棒を1つ加えた。 「彼らなら巨大ゆっくりの50や100何する物ぞ、必ず蹴散らしてくれます。」 「その記号は…!それなら大丈夫か、安心した。」「彼らならやってくれるだろうな。」 「ご理解頂き感謝します。それでは作戦会議を終了致します。すでに斥候ゆっくりとの小競り合いが起きていますので、各員、情報漏洩に注意してください。では、解散。」 会議に参加した男たちが一斉に腰を上げ、挨拶を交わしながら外へ出て行く。 男たちは愛する家族が待つ家へと帰るために扉の外の吹雪へと次々姿を消し、後に残ったのは彼と里長だけになった。 「それでは、私もこれで。向こうで加工所の皆様とうち合わせをしなければならないので。」 「ああ、武運を祈る。」 彼もそう言って外へ出て行き、最後に残った里長は冷えた体を温める為、茶でも飲もうかと立ち上がっていった。 まりさは勝利を確信していた。 昨日おうちを破壊してくれた愚かな人間は赤ちゃんゆっくりをかなりの数惨殺しており、それ自体は群れの存続に影響があるほどのダメージだったが、現有戦力──つまり成体ゆっくりの殺害数は2桁にすら届かないというレベルだったので、人里侵攻には何の影響もなかった。 あかちゃんをころしてもつよいゆっくりをころさないなんて、あのにんげんはほんとうにばかだね! 昨日その人間のせいで死に掛けたのだが、餡子脳はそのような自分に都合の悪いことは覚えておらず、昨日の人間はまりさの中で雑魚ということになっていた。 それに、おともだちのありすやみょんもたすけにきてくれたからぜったいまけないね! 友好関係にある巨大ありすや巨大みょんの群れから結構な数の巨大ゆっくりが増援に来ており、その事もまりさの自身を増大させていた。 自分たちの後方で爆発が発生するたびに、巨大ゆっくりが数匹に通常ゆっくり1ダースが脱落している事にまりさは気づいていなかった。 巨大ゆっくりが大量に動くとき発生する音と巻き上がる地吹雪のせいでまりさの視覚と聴覚が半ば麻痺していたから。 そんなまりさでも森の向こうが徐々に明るくなってくるのは分かった。森の出口だ。 「ゆっ!みんな!もうすぐにんげんのところだよ!ゆっくりじゅんびしてね!」 まりさは走行中の巨大ゆっくりの上から指示を出す。 それを聞いた仲間たちは巨大ゆっくりが前面に出るように加速し、通常サイズがその後ろに隠れるようにやや減速した。 まりさは今まで敵対してきた群れをいくつも滅ぼしたこの陣形に絶対の自信を持っていた。 だから、森を抜けた瞬間に人間たちの攻撃で足元の巨大ゆっくりごと吹き飛ばされ、高速で木の幹に叩き付けられても何が起こったかわからなかった。 リーダーまりさ自ら率いる最初のゆっくり集団は森を抜けると同時に待ち構えていた人間の一斉射撃によってリーダーを残し全滅した。 雪の色と餡子の色が絶妙なコントラストを作り出す。 「みんな!にんげんたちをころすよ!」 「ゆっくりできないようにしてやる!」 「あやまってもゆるさないよ!」 第2集団がすぐに現れ、最初の集団の成れの果てが見えないのだろうか同じような陣形で突撃していく。 その集団は最初の物より5メートルほど先に進めたが、そこが限界だった。 「ゆぶぶぶぶぶぶぶっ!」 「ゆ゛ーーーーーーっ゛!!」 「もうし゛ないか゛らゆるし゛へ゛っ!!」 重厚な音を立てて機関銃が弾を吐き出していく。 何発かに1発の割合で混ぜられた曳光弾の放つ光が巨大ゆっくりへと吸い込まれ、瞬時に穴だらけの巨大饅頭へと変化させた。 そればかりか、巨大ゆっくりの柔らかい体を反対側まで突き抜けた7.7ミリ弾はその後ろを進んでいた通常ゆっくりに命中し、そこでやっと運動を止めた。 その運動エネルギーを受け止めた通常ゆっくりは既にバラバラになっていた。 このような光景が防御陣地に三箇所据え付けられた機関銃によって現出させられていく頃、同時に他の光景も現れ始めた。 陣地中ほどで待機していた加工所研究開発部の戦車中隊が侵攻してくるゆっくりの増大を見て攻撃を始めたからだ。 「目標!前方の巨大ゆっくり!弾種榴弾!撃ぇーーーーっ!」 「ゆっく゛りし゛て゛て゛ね!こっち゛こないて゛ねへ゛っ!?」 「みんなはれいむがまもってあげるほ゛おぉっふ゛っ!!」 合計10門の戦車砲が咆哮をあげ、灰色に塗装された様々な形の鋼鉄が振動するたびに巨大ゆっくりが体を貫通されて悲鳴を上げ、その後ろの通常ゆっくりが榴弾の爆発により木っ端微塵にされていく。 「みんなはまりさのかわりにしんでほしいんだゼゴブッ!」 「ゆっくりしんでいっぺぺぺぺぺっ!」 仲間が次々と穴だらけのオブジェにされるのを見たゆっくり(特にまりさ種)がその場から逃げ出す。 だが、機関銃の弾は勇敢なゆっくり臆病なゆっくり誠実なゆっくり卑怯なゆっくり大きいゆっくり小さいゆっくりを区別せず平等に死を与えていく。 「おか゛ーち゛ゃーん!た゛す゛け゛へ゛っ!!」 「まりさ゛をこ゛ろし゛て゛もいいか゛らみんなをた゛す゛け゛く゛っこ゛ーーっ!!」 「ころさ゛ないて゛えヘ゛フ゛ヘ゛ーーーッ!!」 幻想郷においては美しさの点でおそらく最底辺に位置する弾幕が展開されるたびにゆっくりの命が刈られ、白化粧の風景が飛び散る餡子に汚されていった。 5個集団100匹のゆっくりの突撃を粉砕した陣地に僅かな静寂が訪れた。 5個目のゆっくり集団が突撃を中止、仲間の死骸や仲間だった物の一部を引きずり、口に入れて回収し始めた事に陣地の人間が気づいた段階で射撃は停止されていたからだ。 突撃と射撃の中止タイミングが少しずれていたために回収役のゆっくりが10匹以上回収される側になっていたが。 機関銃陣地の人間は加熱し磨耗した銃身を取り替える為に、大量に消費された機銃弾を補給する為に僅かな人間を残して後方へ必要な物資を取りに行ってしまった。 戦車隊は横付けされたリヤカーから砲弾を受け取っている為に全員配置についていたが、ハッチから砲弾を受け取っている為に直ちに戦闘可能と言う訳ではなかった。 全員、機関銃と戦車砲の前に無謀な突撃を繰り返して餡子の山を築くゆっくりに油断していた。 だから、陣地から最も突出していた九七式中戦車の車体前方で火花が散って甲高い衝撃音が発生したとき、それに乗車していた人間は気のせいだと無視した。 ゆっくりが戦車の装甲を打ち抜くなど無理だと思っていたから。 森から巨大ゆっくりが再び姿を見せたとき、戦闘可能なのは陣地中央の1輌のみだった。 「ちいさいゆっくりはいしをどんどんあつめてね!」 「おっけー!ありすにまかせて!」 「おおきいゆっくりはもらったいしをどんどんはきだしてね!」 「ばかなにんげんはおどろくだろうね!」 「たのしみだね!」 木の根元で潰れていたところを救出されたリーダーまりさが生き残りに指示を出す。 巨大ゆっくりの肺活量をいかして砲台にしようとしているのだ。 ぽんっ、という二重の意味で気の抜ける音が森に反響し、陣地へ数十個のこぶし大の石が飛来する。 殆どの石は一番目立つ戦車へ向かって発射され、甲高い音を立てて戦車の装甲に弾かれたが幾つかの石は効果を発揮した。 『こちら第1機銃座!石で機関銃がゆがんだ!射撃不能!』 『7号車から1号車。今の投石で履帯が切れたようだ。自走不能。指示を請う。』 どのみち弾薬切れで射撃できない機銃要員が指示を受けて下がっていき、唯一戦闘可能な四式中戦車がエンジン音を上げて陣地の前方に出る。 「ばかなにんげんだね!それだけでかてるわけないじゃん!」 「はやくあやまってね!くるしまずにころしてあげるよ!」 「あやまってね!」「あやまってね!」 「ゆーっゆっゆっゆっ!」 勝ち誇るゆっくりが戦車に対して罵声を浴びせる。 満面のいやらしい笑みをうかべた巨大まりさだったが、返事は彼女の期待に沿った物ではなかった。 巨大まりさにオレンジ色に光る物体が突入した瞬間、彼女はくぐもった悲鳴をあげながら巨大な虐待お兄さんに蹴り飛ばされたかのように中央がへこみ、瞬きする間もなく後頭部が膨らみ炸裂した。 一式破甲榴弾が巨大まりさ自慢の分厚い皮をちり紙のように貫通し、そのまま後ろへ抜けて行ったのだ。 五式七糎半戦車砲から放たれた砲弾はこのような光景を5回再現し、6匹目の通常ゆっくりに突入してからやっと炸裂した。 リーダーまりさの小間使いをやっていたゆっくりれいむが破裂する。 後方で他のゆっくりに指示を出していたリーダーまりさに加熱された餡子の酸化物が降り注いだ。 「よ゛っ゛、よ゛く゛ほ゛れ゛い゛ふ゛を゛!!」 滝のような涙を流し、リーダーまりさは人間へと突撃。 何事かと振り向いた巨大みょんの横をすり抜け、石を集積中だった赤ちゃんれいむを飛び越して駆けた。 最も先頭にいる巨大ゆっくりを追い抜いたとき、目の前の惨状に気がついた。 まりさの目の前にあるのは餡子と皮の山。森の出口正面の為にここで無残に撃ち殺されるゆっくりが多かったことを物語っている。 苦痛の表情をした顔の皮とまりさは目を合わせてしまった。 背中に何か冷たい物を感じるまりさ。 まりさの右にはたくさんの瀕死ゆっくり。「い゛た゛い゛よ゛お゛ぉ゛。」「ゆ゛っく゛り゛し゛た゛い゛よ゛」「ま゛り゛さ゛。た゛す゛け゛て゛よ゛は゛り゛さ゛」ゆっくりのうめき声がたくさん流れてくる。 元気なゆっくりが葉っぱを貼り付けてあげ、言葉をかけるなど治療行為を行っているが餡子の流出が止まらず、どう見ても助かりそうに無かった。 まりさの左には形が残っているゆっくりの死骸が集積されていた。 話しかければ今にも起き上がるんじゃないかという安らかな顔で目を閉じたゆっくりれいむが運ばれてきて、死骸の山に加えられた。 まりさは再び正面に顔を向けた。 餡子と皮の山の向こうには灰色の塊が鎮座している。人間の乗り物だ。 後部から煙を噴き出し、その塊がが次々とまりさの方へ向かってくる。 あれが、あれがまりさのともだちを!あれがまりさのかぞくを!あれがまりさのなかまをころしたんだ! 怒りの視線を射殺さんばかりに灰色の塊へと向けるまりさ。 ふっと、何かを決意して口を開く。 「ひ゛んは゛!ひ゛んけ゛んはゆっくりし゛て゛るみた゛いた゛よ!いは゛のうち゛にこ゛ろせ゛えええぇぇ!!」 20を切るまでに減った砲台ゆっくりがリーダーの命令を受けて口を開けた。 次に石を頭に載せた通常ゆっくりが近づき、砲台ゆっくりがそれを受け取る。 本来ならば砲台ゆっくり1に対し、石運びゆっくりは3を確保して迅速な射撃を実現していたはずだったが、急速な石運びゆっくりの消耗により射撃間隔がひどく開いてしまっていた。 でも、これまでだよ。にんげんののりものがすごくてもこんなにたくさんのいしをふせげるわけないよね。 砲台ゆっくりが一斉に空気を吸い込むと言う頼もしい光景にまりさは勇気付けられた。 今までにその自信が何回打ち砕かれたかはもう忘れて。 「みんな!いくよ!ゆっくり~!」 「装填よし!」 「目標!砲撃ゆっくり!弾種徹甲!」 「うってね!」 「テェッ!」 砲台ゆっくりと戦車隊の射撃はほぼ同時だった。 しかし、ゆっくりが放った石は放物線を描き、それに対して砲弾はほぼ一直線に突き進んでいく。 どちらが先に効果を発揮するかは明らかだった。 ゆっくり達にとって幸いだったのは、石が効果を発揮したかどうか判別する前に死んだ事だった。 「は゛ぁ…は゛ぁ…な゛ん゛て゛ぇ!?な゛ん゛て゛ぇっっ!????」 リーダーまりさは僅かな手勢を引き連れて廃鉱山へと泣きながら逃げ帰っていた。 切り札を人間に悉くつぶされた挙句、新しく開発した「投石」作戦すら無効だったから。 強靭な悪い巨大ゆっくりの皮膚すら貫通する「投石」を防がれたのはショックだった。 あの時、自分達の放った石よりも先に人間達の攻撃が到達して砲台ゆっくりを粉砕、餡子と白雪の混合物が舞い上がったが、それでもまりさは口をゆがめて笑うのを止めなかった。 試しうちした時に見た、放物線を描く石が悪いゆっくりの上から降り注いで、餡子の飛沫を上げながらゆっくりが絶命した光景。 それが今度は人間相手に起きるだろうと確信していた為だ。 しかし現実は厳しかった。 威力を期待された石は戦車の一番薄い上面装甲すら貫徹できず、火花を上げて跳ね返された。 必殺の攻撃すら防がれたゆっくりの群れはその光景を目にした時点で壊乱。 残り少ない巨大ゆっくりが人間の前に立ちふさがり、通常ゆっくりがまりさを援護しながら脱出を開始した。 巨大ゆっくりの断末魔を聞きながら全速力で「おうち」を目指しているのが今の状況、というわけだ。 まりさが後ろで何かはじけるような音がしたのに気づくと同時に、横を走っていたゆっくりみょんが顔をはじけさせながら前につんのめる。 「ま…さ…ゆ…くり…にげ…て…ね…」 まりさはみょんを見ない。見ると追いつかれて殺されると知っていたから。 再び後方で音が発生。ついでまりさのまわりを高速で何かが飛びぬけていった。 高速で飛ぶ何かが木に当たり、木片を高速で周囲に撒き散らす。 ゆっくりちぇんが木製の散弾を食らって倒れた。 ありすの群れから来てくれたゆっくりありすが高速で飛ぶ何かに全身を貫かれて吹き飛ぶ。 それでもまりさは前を見続け、前進し続けた。 まりさを救うために散ったゆっくりの命を無駄にしない為に。 そうするうちに追撃がやんだが、それに気づかずリーダーまりさは森を駆け抜けていった。 「撃ち方やめ!撃ち方やめ!」 逃走した指導者まりさとその取り巻きを追撃していた加工所職員達に停止命令が伝わる。 停止させた理由が分からず疑問に思ったが、彼らはそれを態度に表さずに帰っていった。 それが彼ら加工所研究開発部実験隊の仕事だから。 ごめんね。ぜんぜん「雪中」じゃないね。 by sdkfz251 このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutau2/pages/325.html
閲覧数 - 小話です 前作ゆうかがゆっくりできない話 まりちゃ探検隊の冒険 午前3時に作ったので内容はあやふやです 6000は超えるような大きな群れがあった しかしその群れは越冬の食糧が足りない状況にある ドスはどうにかできないか考えた、 一つだけ手立ては思い付いた、 そう、人間の街に攻めこむのだ、 到底無理な話だが万能感たっぷりのゆっくりからすりゃ 人間なんて怖くないのかもしれない そんな群れの中で緊張感が高まる どすの号令だ 「みんな!すべてのゆっくりをすくうじゅんびはととのったよ! いまからにんげんのまちにせめこむよ!」 どすが群れのゆっくりを鼓舞すると群れのゆっくり達は行進を始めた 行く先は1キロ先の人間の街、勝算は限りなく無に近かったが、 群れの食料が尽きた今これ以外に打てる手がないのである。 軍隊の構成はれいむ2000まりさ3000ちぇん500みょん250ありす250 ドス50すべての種類のゆっくりの特性を最大限に活かした 配置(ゆっくりにとって)は 前 れれれれれれれれれれれれどれれれれれれれれれれれれ ままみままみままみままみどみままみままみままみまま こんな感じの本隊にちぇんとありすの必殺部隊もあり ゆっくりにしてはまともな部隊だったが この先の相手が悪すぎることは ゆっくり達に知る由もなかった 「ドスたち!じゅんっちょうね!このままいけばあしたにはまちにつくわっ!」 「そうだねっ!ぱちゅりーのさくせんのおかげだよっ!」 そして次の日とうとうゆっくり達がまちに到着した 『ふわぁぁ〜あ何あれ大量のゆっくりが行進してる...寝ぼけてるのかなぁ...』 と二度寝する者もいれば 『大変だぁー!街に大量のゆっくりがせめてきたぞー!』 と焦る者もいれば 『いや、ふざけてませんって!街に大量の糞m…ゆっくりが攻めてきたんです! とりあえず、なるべく早くきてくださいね!では!』 と警察に電話をかける者もいた そして、1人が加工所の駆除課に電話をしたことで状況は大きく変わる、 『あーここか、ゆっくりが大量にいるって言うのは』 加工所の駆除課の鬼威 惨爾(28)独身童貞金欠... 『これ以上言うなって!』なぜナレーションと会話ができるのかは謎だが この男に目をつけられたゆっくりは死ぬ以外の選択肢はないという、 恐ろしい(人間からしたらありがたい)男である。 『手早く終わらせるかな』 そぉい! 鬼威が30キロはあるダンベルを投げるとありす全滅ドス五匹の被害をもたらした そしてパニックになっているところを一気につぶそうかとも考えたが ちょっと“遊ぶ“ことにしたようだ 『おーーいデブ饅頭、お前の仲間を殺したぞー!』 「ゆゆっ!そんなわけn…どぼじでありすだぢがじんでるのぉぉぉ! どずのながまなんだよ!もうゆるざないよ!」 どすが頑張って限界まで飛び跳ねると鬼威を潰そうとした、 しかし鬼威に指一本で受け止められるなんて思ってもいなかった、 「ゆっふっふ!ドスにさからうからこうなるんだよ!」 バァァァン 鬼威の指パッチンでドスは中から消し飛んだ、 そして自慢げに『ゆっふっふ!鬼威惨に逆らうからこうなるんだよ!』 そして近くで虐殺さr..戦っていたまりさは 「なんなのぜ?からだがおm..どすぅぅぅぅ!かてないよ! まりさはにg..」 逃げる前に鬼威の全力拍手の風圧によってまりさは消し飛び その死体がちぇんにあたり軍は瓦解しぱちゅはエレエレで 既にこの世を去っていて、でいぶ達は「くそにんげんいまならゆるしてやるからあまあまをよこしてね!すぐでいいよ!」 と開き直り地下の虐待ルームから飛び出してきた町内の鬼威惨に捕まり 虐待地獄でドスは『この体は鬼威惨がサンドバッグとしてつかってあげるよ! 光栄に思ってね!』と言われれて殴られ焼かれアマギられバリカンで刈った髪の毛さんとお帽子とおめめが目の前で芝刈り機によりグチャグチャにされ 殴られ続けすべてのドスは今でもゆっくりし続けているそうだ、 めでたしめでたし 選択肢 投票 しあわせー! (0) それなりー (0) ゆゆっ!ごみみたいな作品さんだねこんなのかいてないで バイトしてあまあまかってきてね!すぐでいいよ! (0) 一日一投稿目指します -- 作者 (2021-06-25 03 45 18) 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/slowlove/pages/232.html
ゆっくりSS ゆっくりランド 気が付いたら全く覚えのない場所にいた。 いくら紅魔館の近くにある湖に霧が発生することあるとはいえ、 霧が晴れたら全く見覚えのない場所にいるなんてあんまりじゃないのか。 「ゆっくりしていってね!!!」 「うおっ!? なんだ、ゆっくりか。脅かすなよ」 いきなり足元で声がしたかと思ったら、ゆっくりれいむじゃないか。 「れいむにはちゃんとれいむってなまえがあるんだから、なまえでよんでね!!!」 「へいへい。 れいむ、おどかすなよ」 「わかればいいんだよ。ゆっくりしていってね!!!」 「それで、ここはどこなんだ? 俺は湖にいたはずなんだが……」 「おにいさん、なにいってんの!? ここはゆっくりらんどだよ!!!」 ゆっくりらんど、聞いたことのない名だ。もう少し突っ込んだ質問にしよう。 「それで、そのゆっくりらんどとはどこにあるんだ? 湖はどっちにあるんだ?」 「ゆっくりらんどはここだよ!!! みずうみはあっちだよ!!! やさしいれいむがおしえてあげるから、ゆっくりついてきてね!!!」 ああ、なんでゆっくりって生物はこんなに偉そうなんだ……。 「ここがみずうみだよ!!! ゆっくりしていってね!!!」 そう言ってれいむに案内してもらった場所はどう見ても湖とは呼べない。 人間基準ならどう頑張っても池としか言いようがないじゃないか。 紅魔館の近くにある湖とは似ても似つかぬ大きさだ。 「いや、俺が行きたかった湖は、反対側が見えないぐらいの大きなものなんだが」 「そんなのゆっくりらんどにはないよ!!! おぼれたあぶないでしょ!!!」 そう言って背伸びをするれいむ、人間の動作ならならふんぞり返るってところか。 もしこのれいむの言うことが正しいなら、 ここは紅魔館からものすごく離れた場所ということになる。 とりあえず、このゆっくりランドの出口を探さねばならない。 「なあ、ゆっくりらんどの出口ってどこにあるんだ?」 「でぐち? ゆっくりらんどはゆっくりらんどだよ? おにいさんなにいってんの?」 「いや、ゆっくりらんどにだって入り口はあるだろ? なら、出口もあるだろ」 「ゆっくりらんどにいりぐちもでぐちもないよ!!!」 ……。困ったな、話が全く掴めない。もっと頭のいいやつに話を聞くしかないか。 「あーわかったわかった。もういい。 わかったから、お前達の仲で一番頭のいいやつに会わせてくれ」 「わかったよ!!! のうかりんならおにいさんのレベルにあわせてくれるかもね」 そう言うとれいむは踵を返しまた別の場所へと跳ねていった。一言多いやつめ。 さて、のうかりんとやらのいる場所まで案内してもらうとするか。 それにしてもこのゆっくりらんどとやらは自然が豊かだ。 今歩いている場所は花が咲き乱れる草原だし、後ろには森が見える。 おそらくあの遠くに見えるのは山なんだろう。 よくよく見るとれいむが出入り口がないと言ったのも頷ける。 こんなに広いのならば出口もクソもないだろうしな。 だが、そうなると発生するのはここがどこなのだろうかということだ。 そんなことを考えているうちに、民家のようなものが密集した場所にたどり着く。 ミニチュアサイズの民家から、俺の家と同等かそれ以上のものまである。 なんというシュールな光景だ。 「ここがのうかりんのおうちだよ!!! たいどにきをつけてね!!!」 まずお前が俺に対する態度を考えろよ、と言いたいが我慢する。 今の俺にとって最も重要なことはこのゆっくりらんどからの脱出だ。 「のうかりん、おきゃくさんをつれてきたよ!!! ゆっくりおじゃまします!!!」 そういいながられいむはどこからか取り出した木の枝で引き戸を開ける。 猫みたいに器用なやつだ。 「いらっしゃい……おんやまぁ人間でねぇか!! こりゃ珍しいお客さんだ」 家の奥から出てきたのはチェックの服を着た人型のゆっくりだ。 あのゆっくり特有の顔がなければ人間と言われても納得できてしまう。 しかも、来ている服は幻想郷縁起に載っている大妖怪のものだ。 本人が見たらどんなリアクションをするのか想像もできない。 「さぁさ、上がってけ。こんなに日は麦茶がうめぇんだ」 あっけにとられる俺を尻目にのうかりんとやらはさっさと奥に行ってしまう。 俺は慌ててそれについて行った。 「ちるの、出番だよ。いつもの通りにやってけれ」 「あたいのクライマックスさいきょーパワー!!!」 のうかりんが差し出した薬缶に息を吹きかけるゆっくりちるの。 薬缶の表面がたちまち白くなって霜が降りたようになる。 「だいせいこー!!! やっぱあたいさいきょー!!!」 薬缶を冷やすだけでそんなに喜ぶなんて……普段は失敗したりするのか? のうかりんからもらった麦茶を飲む。冷たくてしかもうまいじゃないか。 「 さてお兄さん、このゆっくりらんどになんのようけ?」 「いや、自分でもよくわからないが、霧が晴れたらここにいたんだ。」 と、言ってここに来るまでの経緯を話す。のうかりんは神妙な顔で頷いた。 「そかそかぁ。じゃあまんずここについて説明すっぺ。 ここはゆっくりらんど、ゆっくりだけの理想郷だぁ。 幻想郷とも外の世界とも全く違う場所よぉ」 のうかりんの話を要約すると、のうかりんはゆっくりらんどの最古参で、 ゆっくりらんどはそれなりに昔からあるらしい。 そしてときどきさまざまなところからゆっくりが辿り着いたり、 あるいは人間が迷い込んでくることがあるらしい。 そして何よりも重要なことだが、ゆっくり以外はすぐにもとの場所へ送還するらしい。 じゃあ、もう安心だ……そう思ったのが運の尽きだった。 「へ……へえーらろろろーらなーあおなーおなー」 「違う!! こう!!ヘェーラロロォールノォーノナーァオオォー」 ……一体何度ダメ出しをされればいいんだ……。 こんなテンションの高い歌、素面じゃやってられねぇよ。俺、歌苦手だし。 それでものうかりんのギターは止まらない。 まさか無事に帰るのにこんなことをしなければならないとは……。 「へーらろろーおあーあああー」 「こんのお兄さんもわからん人だっぺなぁ!! ヘェーラロロォールノォーノナーァオオォー…… はい、もう一回!!」 くそ、何で帰るためにこんな歌歌わないといけないんだよ!!! あゝもうヤケだ!!! 俺の歌を聴けぇ!!! 「ヘェーラロロォールノォーノナーァオオォー……」 「ヒィーィジヤロルリーロロロー……って、あれ?」 なんということだ。この景色は間違いなく紅魔館の目の前だ。 いや、まずは落ち着こう。どうやら俺の記憶が混乱しているらしい。 まず、俺は何をしていたのか? 紅魔館へ物々交換をしに行ったんだ。 そして湖の辺りまで行って……そこからの記憶があやふやだ。 楽しかったような腹立たしかったような記憶があるが、 まあ、湖の妖精にばかされたと思って家に帰るか……。 「ヘェーラロロォールノォーノナーァオオォー」 あれ? 俺、こんな歌知ってたっけ? 最近の妖精は歌まで教えてくれるのか。 END ARIAの猫の町に迷い込む話は素晴らしい。 あんな感じを出せるようになりたいと思いつつもオチをつけてしまった。 名前 コメント
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/547.html
ゆっくりチルノの一日 紅魔館の前に広がる巨大な湖。 正確な大きさすら分からぬその湖畔には妖精からゆっくりまで、様々な生物が生息している。 それは生態系ピラミッドの下層に位置するゆっくりにとっては天敵も多いという事実を示しているが、 それでもやはり豊富な水や食料と言うのは捨て難い魅力らしく、ゆっくり達は日々危険にさらされながらも ゆっくりとした生活を送っていた。 そんなゆっくり達のうちの一匹、水色の髪に薄い色の羽、 氷精を模したゆっくりであるゆっくりチルノは今朝も狭い巣穴の中で起床の一声を挙げた。 「おはよう!あたいってばゆっくりね!」 近くには誰もいないのだが、そんなことは気にせずに伸びをする。 「ん~~~っ!」 さて、さっそく朝食を取ってこよう そう思ったゆっくりチルノは草むらに穴を掘っただけの小さい巣穴から元気よく飛び出す。 実は昨晩のうちに明日の朝食にしようと思って巣穴に木の実をいくらか蓄えていたのだが、 そんなことはもう忘れてしまったらしい。 まぁしょうがないよね!⑨だもの! 夏の暑い日差しもこんな朝早くは厳しさを感じさせない。 だが晴れ渡った青空はその日も暑い一日となることを告げていた。 そんな日差しの射す湖畔をぴょんぴょんととび跳ねるゆっくりチルノ。 しかし空腹に悩まされているその体はあまり元気がない。 「う~~………あたいってば腹ぺこね……」 誰にともなく呟きながら餌を探すゆっくりチルノ。 そもそも燃費の悪いゆっくりにおいて昨晩から何も食べていないのだから元気がないのは当然であった。 しかしどれだけ探しても餌となりそうな虫も花もなかなか見つからず、段々とその足取りは重くなっていく。 実際は探し方が悪いだけでそこら中に食べられる物はあったのだが、 ゆっくりの中でも極めつけの餡子脳、ゆっ⑨りブレインではそんなことは分かるはずもなかった。 あたいってばここで死ぬのかしら、とゆっくりチルノ空腹で朦朧とした意識で考え始めていたその時、 急に足場を踏み外して湖の近くの池とう(小さい池みたいなもの)に突っ込んでしまった。 「1+1=11!!?」 意味不明な⑨ソウルを叫んでぷかぷかと池とうに浮かぶゆっくりチルノ。 早く上がらなきゃ、と僅かに残った意識が警鐘を鳴らすが最早そこから脱出する力は残されていなかった。 頭の中に走馬灯が流れ始める。 記憶力が無いので1秒で終わった。 「ゆっくりした結果が⑨だよ……!」 ⑨なこととゆっくりしていたことはあまり関係ないのだが、 それはともかくそんなつぶやきとともにゆっくりチルノの意識は闇に沈んだ。 「ゆっゆっゆ~♪ゆゆゆ~ゆ~♪ゆ~ゆゆ~♪」 何やら音痴な歌声が聞こえてきてゆっくりチルノは意識を取り戻した。 体は相変わらず池とうに突っ込んだままだが、先ほどと違って空腹は満たされ、体は元気に充ち溢れている。 「んっぷはっ!あたいってばゆっくりね!」 何で元気になったのかはよく分からないが、とにかく元気になって復活したのだ。 あたいってばひょっとして最強に運が良いのかもしれない。 と幸せ脳回路で考えたゆっくりチルノ元気いっぱいな叫び声とともに池とうから抜け出した。 実際は運が良いとか何か特別なことがあったとかいうわけではなく、 ただ単にゆっくりチルノの体が氷でできており、池とうにはまったことで体が勝手に水分を吸収して 回復しただけなのだが、そんな理屈は当の本人は知る由もなかった。 だって⑨だもの。 因みにゆっくりチルノの氷は微妙に糖分を含んでおり、溶かすと砂糖水になっておいしいらしい。 ここでなんで氷のくせに常温で溶けないんだとか、そもそも氷が動くわけないだろとか言う突っ込みは、 饅頭が生きている世界においては野暮である。 さて、池とうから上がったゆっくりチルノは音痴な歌声の方に向かって跳ねていく。 「あたいってばゆっくりね!」 向かった先には予想通りゆっくりがいた。 それも一匹ではなくゆっくりれいむの家族である。 ゆっくりチルノよりも二回りは大きな母れいむ一匹に4匹の小さい赤ちゃんで構成されたその家族は、 歌を歌いながらお散歩を楽しんでいる最中のようだ。 「「ゆ?ゆっくりしていってね!」」 ゆっくりチルノに気付いた一家がお決まりの挨拶をする。ゆっくりチルノもそれに応えて 「ゆっくりしていってね!れいむってばゆっくりね!」 と返す。 「ゆ?おねえさんゆっくりできるちと?」 赤ちゃんれいむの問いかけに 「あたいってばゆっくりね!一緒にゆっくりしようね!」 とゆっくりチルノが楽しそうに返す。 「「一緒にゆっくりしようね!」」 あっという間に仲良くなった一家とゆっくりチルノは一緒に遊び始めた。 「ゆー。それにしても暑いよ!ゆっくりできないよ!」 しばらく遊んだあと、体中から汗を流しながら母れいむがいった。 太陽は既に天頂近くまで上っており、夏の暑い日差しがぎらぎらと降り注ぐ。 先ほどまではキャッキャッと楽しそうに遊んでいた子れいむ達も今は暑さに疲れて ぺたんと地面にへたり込んでいた。 「あたいってば暑くてもゆっくりね!」 そんな中、氷でできたゆっくりチルノだけが元気にしていた。 「ゆ?おねえちゃんつべたい?」 ふと一匹の子れいむがゆっくりチルノから発せられる冷気に気づき、側に近づいて行く。 「ゆー!おねえちゃん涼しくて気持ちいいよ!ゆっくりできるよ!」 「ゆ?ほんと?」 「れいむも涼しくなりたい!」 「ゆっくりさせてね!」 一匹の子れいむの言葉を皮切りにして次々と他の子れいむたちもゆっくりチルノに近づいて行った。 「ゆ!ほんとだ!とっても涼しいよ!ゆっくりできるね!」 「おねえちゃんすごいよ!」 「ゆっくりさせてね!」 そう言いながら4匹の子れいむはゆっくりチルノを取り囲んでその冷気にあたり、ゆっくりし始める。 「あたいってばとってもゆっくりねっ!」 ゆっくりチルノもわけはわかってないがとにかく子れいむ達が自分を頼ってくれるのが嬉しいようだ。 一方母れいむは 「おかあさんも入れてね!おかあさんもゆっくりさせてねっ!」 とその周りをぴょんぴょん飛び跳ねている。 自分も冷気にあたって涼みたいようだ。 しかしすでに4匹の子れいむで囲まれたゆっくりチルノの周りに巨大な母れいむが入る余裕はなく、 何とか押し入ろうと子れいむ達をぐいぐい押し始めた。 「ゆゆっ!どいてね!おかあさんも入れさせてね!」 しかしそんな母の態度に子れいむたちから非難の声が上がる。 「ゆゆっ!おかあさん押さないでね!」 「そんなにされたらゆっくりできないよ!」 「おかあさんはあっちでゆっくりしててね!」 「ここにおかあさんのはいる場所はないよ!ゆっくりりかいしてね!」 「どうしてそんなこというのぉぉぉ!!?」 一家が危うく親子げんかに発展しかけた時、ひらひらと何処からか蝶が飛んできた。 「ゆ!ちょうちょさんだ!ゆっくりしていってね!」 さっきまで押し入ろうとしていたのも忘れて蝶を食べよう追いかける母れいむ。 「ゆっ!ゆっ!ゆっくりして言ってね!早く食べられてね!」 何とか飛び跳ねて捕まえようとするもうまくかわせれてなかなか捕まえることができない。 そんな母の様子を、子れいむ達はゆっくりチルノの近くで涼みながら見ていた。 「ちべたいねー」 「きもちいねー」 「あたい!」 と、母親に追い立てられた蝶がふらふらとゆっくりチルノの方に飛んでいき、その顔の中心に止まった。 蝶の方も暑かったのかもしれない。 しかし突然の事に驚いたチルノは対応できず 「ゆっゆっゆ……ゆっくし!」 とくしゃみをしてしまったのだ。 本人は自覚していないがくしゃみはゆっくりチルノ最強の武器である。 体の奥の冷たい冷気と水滴を同時に飛ばすことによって向いている方向の物を一瞬にして凍らせてしまう 破壊力を持つのだ。 その冷気はゆっくりレティやゆっくりもこーでも無ければ耐えることはできないだろう。 上手く活用すればあっという間にゆっくりチルノはゆっくりピラミッドの上位まで 上り詰める事が出来るかも知れない。 最も意図してくしゃみしたりなんて出来ないので意味ないんだけど。 さて、そんなわけでその行動は本人の意思にかかわらず相応の結果をもたらす。 すなわち、その時ゆっくりチルノの正面にいた子れいむの凍結という結果を。 「ゆっ!」 短い悲鳴を上げて驚愕の表情をして凍結した子れいむを見てその場にいた他のゆっくりたちの表情も凍りつく。 茫然としたゆっくり達が凍った子れいむを見つめる凍った時間の中で、 くしゃみに驚いた蝶だけが時間が動いているようにひらひらと飛んで行った。 数秒後、我にかえった母れいむが激昂してゆっくりチルノに掴みかかる。 「れっ、れいむの赤ちゃんになにするのおおおおおおおおおおおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!??」 その叫び声を受けて他のゆっくり達の時間も動き出す。 「ゆっ、こんなことするおねえちゃんとはゆっくりできないよ!」 「ゆっくりどっかにいってね!」 「ゆっくりしね!」 今まで涼ませてもらっていたことも忘れてゆっくりチルノを罵倒しながら母れいむの陰に逃げ込む子れいむ達。 一方激昂した母れいむはゆっくりチルノを責め続ける。 「赤ちゃんを元に戻してね!早く元に戻してね!今すぐ元に戻してね!直ちに元に戻してね! マッハで元に戻してね!元に戻せたら許してあげてもいいよ!」 「ゆ、ゆー……」 一方責められているゆっくりチルノ。 さすがに自分が悪いことは分かっているのか申し訳なさそうにしていて何も言い返さない。 だが、凍ってしまった子れいむをすぐに戻す方法など思いつかなかった。 「黙ってないで何か言ってね!早く溶かしてあげないと二度とゆっくりできなくなっちゃうよ! それでもいいの!?」 「ゆ……ゆ!?」 ーその時、ゆっくりチルノに電流走る―! 溶かす!そうだ、溶かせばいいのだ! ゆっくりチルノはそのゆっ⑨りブレインにも関わらず、水に沈んだゆっくり達がどうなるか知っていた。 そう、水に「溶ける」のだ。 ちょうど近くには大きな湖がある。そこに入ればすぐにでも「溶ける」だろう。 色々と間違っているがとにかくゆっくりチルノにとってこれは名案に思えた。 この子れいむを元に戻すことが出来ればまた一家と仲良くゆっくりできるに違いない。 あたいってば天才ね! さて、そうとなれば善は急げ。ゆっくりチルノは母れいむに言い放った。 「分かったよ!あたいがこの子を「溶かし」て元に戻して来るよ!あたいに任せてゆっくり待っててね!」 そう言うと凍った子れいむを口にくわえ、一目散に湖に向かって走って行った。 湖畔に辿り着いたゆっくりチルノは、さっそく湖に凍った子れいむを浮かばせた。 ここで勢いよく落として氷を砕いてしまうような真似はしない。 同じ過ちを犯さないなんてあたいってば天才ね! ……実際このゆっくりチルノにそんな経験はないのだが、多分平行世界の記憶でも流れ込んできたのだろう。 とにかく、これで子れいむは氷が溶けて元に戻るに違いない。 戻った時にはきもちよく「すっきりー!」という声を聞かせてくれることだろう。 そう、「すっきりー!」という声が聞ければいいのだ。 ゆっくりチルノはゆっ⑨りブレインにそう刻み込むと、凍った子れいむがその声を聞かせてくれるのを 今か今かと待ちわびた。 落とされた凍結子れいむはぷかぷかと浮かんだあと、はたしてゆっくりチルノの思惑通り融解しだす。 その様子を見て得意満面のゆっくりチルノ。 「やっぱりあたいってばゆっくりね!」 表面の氷が溶け、やがて子れいむ本体にも水温が伝わりその体が徐々に熱を取り戻し始める。 「…ゅ…さむいよ……ゆ…?」 ついに子れいむが意識を取り戻した。 無事子れいむが生き帰ったことに全身で喜びを表すゆっくりチルノ。 すぐに元気になって「すっきりー!」という声を聞かせてくれるに違いない。 しかし聞こえてきたのは予想と真逆の悲鳴だった。 「ゆ……ゆ!?い、い゛や゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!み゛ず!み゛ずがあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!」 急に寒くなって意識を失い、意識を取り戻したらそこは地獄だった。 子れいむの経験を端的に表すとこうなる。 本能的に水の危険性を知っている子れいむは、何とか岸に上がろうともがくがもがけばもがくほどその体は 岸から離れていく。 「ゆ?れいむってば何してるの?遠くに行かないで早く戻ってきてね!」 予想と違った状況にゆっくりチルノは慌て始める。 どうしてだろう、子れいむを「溶かせ」ばいいはずなのに。 「お゛ね゛え゛ち゛ゃ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ん゛ん゛!!だずげでえ゛え゛え゛え゛え゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛ぇ゛!!」 ゆっくりチルノの姿を認めた子れいむは必死に助けを求め始めた。 しかしどんどん離れていく子れいむはもはやゆっくりチルノが届く範囲とはかけ離れた位置にいた。 「なんでえええええええ!?!?どおじでだずげでぐれないのおおおおおおおお!?!?」 幸運なことにゆっくりチルノは知っていた。 ゆっくりは水に「溶ける」ということを。 そして不幸なことにゆっくりチルノは知らなかった。 ………自分は水に入っても溶けないという事を。 「ゆ、ゆー。」 母れいむに責め立てらてた時のような困惑の声をあげるゆっくりチルノ。 助けにいこうとすれば自分が溶けてしまう。 何がいけなかったのだろう、自分は母れいむが言ったとおり子れいむを「溶かし」ただけなのに。 「ゆぅー!早くこっちに来てね!あたいが引き上げるよ!だから早くこっちに来てね!」 「ぞんな゛あああああああああああ!!!!だずげでよおおおおおおおおおお!!!」 ゆっくりチルノにできるのは応援の言葉を贈るだけだった。 やがて水を吸った子れいむの皮がぶよぶよと伸びはじめ、体内から餡子が漏れ始める。 その事に気づいた子れいむが涙と絶望と恐怖と後悔にまみれた悲鳴を上げた。 「いやだああああああああああああああああああああ!!!じにだくない!じにだくないよおおおおおおお!!! も゛っどゆっぐりじだいよおおおおおおおお!!まだゆっぐりじだいごとだぐざんあ゛っだのにいいいいいいい!! ぎょうはがぞぐみんなでどっでもゆっぐりずるはずだっだのにいいいいいいいい!!! まりざとあじだあぞぶやぐぞぐもじでるよおお!がまんじでどっでおいだりんごまだだべでないよおおおお!! ほがのおいじいものももっどもっどだべだいよおおおおお!!いつかどおぐまでおざんぽじだがっだよおお!! おうだももっどうまぐなりだがっだよおおおお!!ぶゆのゆぎもみだがっだよおおおおおお!! ぞれにいづがおがあざんになっでおがあざんとれいむどこどもだぢでゆっぐりしたがっだよおおおおおお!! それなのにどおじでれ゛いむ゛がごんなめ゛に゛あう゛どおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?!? なにもわるいごどじでないのでぃいいいいいい!!おがじいよおおおおおおおおおおおお!! ゆめならざめでええええええええええ!!どうじでざめないのおおおおおおおおおおおお!?!? がみざま!もうゆるじで!ゆっぐりじでないでれいむをだずげでよおおおおおおおお!!! おがーざん!おねーぢゃん!まりざ!だずげでええええええええええええええええええええ!! どおじでだずげでぐれないのおおおおおおおおお!?!?もうやだおうぢがえるううううううううううう!! ゆっぐりじだいいいいいいいいいいいいい!ゆっぐりざぜでええええええええええ!!! ごんなどごろでじにだぐないのにいいいいいぃぃ…ぃ……あ、あんごが……あ………ぁ…………」 胸の内の全てを吐露するようなうざくてクソ長い断末魔の後子れいむの声は聞こえなくなっていった。 やがで皮も餡子も全て水に溶け、残されたリボンだけが子れいむの生きた証であるかのように水面に ぷかぷか浮かんでいた。 「ゆっ……うっうっ……」 その一部始終を見届けていたゆっくりチルノは耐えられない悲しみに涙を流し始める。 涙なのか氷が溶けてるだけなのかハタから見ると良く分からないが本人は泣いているつもりである。 「うっうっ……うあああああああああああああああああああああああ!!!」 耐えきれずついに大声をあげてゆっくりチルノは泣き始める。 どうして、どうして。そう聞きたいのはゆっくりチルノの方だった。 自分は子れいむを助けるために湖に落としたのに。 何で子れいむは死んでしまったのだろう。 母れいむの言うとおり「溶か」そうとしただけなのに。 わからない。わからない。 ただ悲しかった。さっきまで一緒に遊んでいた子れいむが死んでしまった事が、ただ悲しかった。 「うえええええええええええええええええええええええええんんん!!!!!」 あたりにゆっくりチルノの悲壮な鳴き声が響き渡った。 そしてひとしきり泣いた後 ゆっくりチルノは泣いていた理由を忘れた。 精神の防衛本能なのかとにかくなぜ自分が泣いていたのかすっぱり忘れてしまった。 さすが⑨!俺達に出来ない事を(ry そしてその後に残ったのは思う存分泣いてすっきりしたという感覚のみ。 「すっきりー!」 思わず声に出して叫ぶゆっくりチルノ。 そういえばよく覚えていないが確か自分は「すっきりー!」という声を聞きたがっていた気がする。 素晴らしい。目的は達成されたのだ。 何となくうれしい気分になるゆっくりチルノ。 「あたいってばゆっくりね!」 と思わず叫ぶ。そして湖に背を向け、戻ろうとしたその時 「やっと見つけたよ!」 という声が響いた。驚いてそちらを見ると先ほどのゆっくりれいむ一家だった。 いきなり子れいむをくわえて走り去ったゆっくりチルノをずっと探しまわっていたのだろう。 母はともかく子供たちはやや疲れた表情をしている。 「れいむの赤ちゃんはどこ!?早くれいむに返してね!」 母れいむがゆっくりチルノの側に娘がいないのを見て急いで詰め寄る。 しかし当のゆっくりチルノは困惑の表情を浮かべるばかり。 何故ならこの一家のことも既にゆっ⑨りブレインからは消え去っていたからだ。 「おねーさんだれ?なにいってるのかわからないよ?」 正直に自分の気持ちを言ったゆっくりチルノだったがその言葉を聞いた母れいむは驚愕の表情を浮かべたあと、 体(顔?)中を怒りで真っ赤にしてゆっくりチルノに詰め寄った。 「な゛っ……ふざけるのもいい加減にしてね!今すぐ赤ちゃんを返してね!じゃないと本当に許さないよ!」 そう言ってゆっくりチルノに軽く体当たりをする。 「ゆっ!?なに!?」 突然ことに後ろに転げるゆっくりチルノ。それを視線で追った母れいむはその先に信じられないものを見た。 湖に浮かぶ子れいむのリボンである。 「あ、あ、あ、あ……」 信じられない、といった表情で母れいむが体を震わせる。そして次の瞬間感情が爆発した。 「れいむの赤ちゃんに何したのおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?」 ようやく体勢を立て直したゆっくりチルノにゆっくりとは思えぬ勢いで体当たりする母れいむ。 しかも今度は手加減抜きの全力である。 「れいむの赤ちゃんをどうしたの!?今すぐ答えてね!!赤ちゃんはどこ!?」 涙を流しながら激怒の表情でゆっくりチルノを問い詰める。 それを見て他の子れいむ達も状況を察したのか、ゆっくりチルノに攻撃を始めた。 「れーみゅをかえせええええええええええ!!」」 「よくもおねーちゃんを殺したなああああああああああ!!」 「ゆっくりしねえええええええええええええ!!!」 一家の総攻撃が始まる。 氷でできたゆっくりチルノは比較的硬いのでダメージは少ないが、それでも袋叩きはたまったものではない。 まるで抵抗できずに 「あたいは何も知らないよ!本当だよ!信じてよ!」 ただ必死に弁解をするだけだ。 「れいむの赤ちゃんを返せえええええええ!一緒にゆっくりしてた、これからもゆっくりするはずだった 赤ちゃんを返せええええええええ!!」 「「ゆっくりしね!ゆっくりしね!」」 ひたすら体当たりを続けるゆっくり一家。並のゆっくりならとっくに餡ペーストになっているだろう。 「れいむってばゆっくりしてないよ!今すぐ辞めてよ!」 ゆっくりチルノは責められる心当たりがないものの必死にやめるよう懇願する。 やがてただ攻撃してもあまり効果が無い事に気づいたゆっくり一家は新たな行動に出た。 「「「ゆっくり落ちてね!」」」 ゆっくりチルノを湖に突き落したのである。 「ゆっ!?やべで!だずげてよ!」 先ほどの子れいむの凄絶な死にざまを覚えているわけではないが、それでも水はとても危険なものだと 頭に刻まれている(本当は何ともないのだが)ゆっくりチルノは必死にもがく。 しかし子れいむの時と同じようにもがけばもがくほど体は岸から離れていってしまう。 「あたいってば水だめなのおおおお!いやああああああああ!!!助けてえええええ」 必死に助けを請うゆっくりチルノ。 それに対してゆっくり一家は罵声を浴びせる。 「そうやってたすけをもとめてたれーみゅを殺したんだね!」 「おねーちゃんと同じくるしみを味わってしね!」 「おねーちゃんの仇、ゆっくりしね!」 「死ぬまでここで見ててあげるよ!感謝してね!だから苦しみながらゆっくり死んでね!」 「⑨~~~~~~!?!?!?」 ついにゆっくりチルノはパニックに陥る。 本当はゆっくりチルノは羽を使って飛ぶことができるため、簡単に水から脱出する事が出来るのだが、 パニックに陥った彼女はそれに気づくことができなかった。 例え冷静であっても自分が飛べる事を思い出せたかあやしいが。 「「ゆっくりしね!ゆっくりしね!ゆっくりしね!!」」 もはや一家は完全にゆっくりしねコールだ。 どうやらゆっくりチルノが溺れ死ぬまでそこで鑑賞し続けるつもりらしい。 だが溺れることもなく、また脱出する方法も思いつけないゆっくりチルノはいつまで待っても死ぬことはない。 このままではいつまでもコールを続けることになっただろう。 そしてその事に気付けなかったのが、ゆっくり一家の命取りとなった。 ゆっくりチルノを湖に落としたらさっさと立ち去っていればよかったのに、大騒ぎを続けたせいで、上空を 飛んでいた天敵に自分たちの存在を気づかせてしまったのだ。 「うー?」 気分よくお空を飛んでいたれみりゃは下の湖面が騒がしい事に気づいた。 自分のご機嫌なお散歩を邪魔するなんて許せない。食べちゃうぞ。 そう思って下降しながら湖面に近づいていくれみりゃ。 そこによく見るゆっくりれいむの一家とあまり見かけない青いゆっくりを見つける。 何やら騒いでいるようだがれみりゃにとってはどうでもいい。 それよりお腹がへってきた。やっぱりみんな食べちゃおう。 そう思って一気に狩りの態勢に移るれみりゃ。 ゆっくり一家が気付いた時には、すでに手遅れだった。 「れみりゃだぁぁぁぁーーーー!!」 一匹の子れいむの叫びで一家が慌てて空を見上げた時、もうすぐそばまでれみりゃが近づいていた。 逃げる間もなく、二匹の子れいむがれみりゃの両手に捕われる。 「い、いやあああああああああああああ!!はなしてえええええええええええ!!」 「れーむ食べられたくないよおおおおおおおおおおおおおお!!!!」 悲鳴を上げる子れいむ達。 残った一匹の子れいむは訳もわからず一目散に逃げ出して行った。 それに対して一瞬ためらいを見せたものの果敢にれみりゃに立ち向かう母れいむ。 もう一匹たりとも自分の赤ちゃんを死なせたりするものか。 「れーむの赤ちゃんをはなせええええええええええええええええ!!!」 その瞳には強い決意が宿っていた。 だがれみりゃにはそんな母れいむの気持ちは分からない。 両手の小さいれいむを見て、自分に向かってくる大きいれいむを見て、それから考える。 ―両手が塞がっていては大きいれいむが食べられない― 大きいれいむを捕まえて食べるためには両手を空ける必要がある。 ではどうするか。 そこでれみりゃが取った行動は小さいれいむをさっさと食べて両手を空けるという合理的な方法 ――ではなかった 「うー!小さいのはいらないからぽいするの!ぽい!」 そう言って両手の子れいむを湖に投げ込んだのだ。 「み、みずいやああああああああああああああ!!れーむ死んじゃうよおおおおおおおおおおお!!」 「おねーちゃんみたいになりたくないよおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!」 水に放り込まれた子れいむ達が絶叫を上げる。 それを見て母れいむは慌てて方向転換して子れいむ達に向かって突進する。 「待っててね!今すぐ助けるからね!」 そして湖に飛び込もうとジャンプした瞬間れみりゃの手に捕われた。 「ゆ!?ゆっくりしないで離してね!赤ちゃんが死んじゃうよ!」 慌ててれみりゃの手の中でもがく母れいむ。 だがその訴えはれみりゃの耳を右から左に抜けていった。 れみりゃが考えるのは別のこと。 ―大きいれいむも片手で持てる― つまりそれはもう片方の手にもう一匹持つことができるということだ。 どうせなら両手に持たないともったいない。 そう考えたれみりゃはのこったゆっくりの物色を始める。 「うー♪一番おいしぞうなのをだべるどぉー♪」 結果、れみりゃが選んだのは残ったゆっくりの中では一番大きく珍しい、ゆっくりチルノだった ゆっくりチルノは既に自分が何で水の中にいるか忘れていた。 もがくのも疲れたので顔を水につけて水の中を見ながらぷかぷか浮いている。 「おさかなさんがいっぱい!あたいってばゆっくりね!」 もごもごと泡を出しつつ誰にも聞こえないつぶやきをもらす。 「!?」 と、急にその体が持ち上げられた。れみりゃである。 「う~♪あっかいぷでぃんとあっおいぷでぃん~♪」 楽しそうなその歌声の間違いに突っ込むものはこの場にはいなかった。 ただ両手にゆっくりを抱えて楽しそうに飛び上っていく。 「はなじでえええええええええええええ!!!あがぢゃんが!れーむのあがぢゃんが死んじゃうううううううう!!」 「あたいってばお空を飛んでるみたいね!」 対照的な声音を上げつつ、れみりゃに抱えられた二匹は空に上がっていった。 「おがあざああああああああああんん!!いがないでえええええええええええええええ!!」 「どおじでだずげでぐれないのおおおおおおおおおおおおおおおお!?!?!?」 絶望の声を上げる二匹の子れいむを残して。 飛び上がったれみりゃはさて、どっちから食べようかと二匹のゆっくりを眺めた。 かたや 「れーむの赤ちゃんが……なんで……どうじでごんなごどにいいぃぃ……」 悲しみに暮れて嗚咽を漏らすゆっくりれいむ。かたや 「たかい!たかい!あたいってば最高ね!」 自分の危機的状況を理解していないのか、楽しそうにしているゆっくりチルノ。 ちょっと悩んだ後、れみりゃはとりあえず大きい方から食べることにした。 「う~♪おっきいぷでぃんをだべちゃうど~♪」 「ごべんねえええええええ……守れながっだおがあざんをゆるじんぶぎゅっ!?」 自分の世界に入り込んでいた母れいむにいきなり走る激痛。 れみりゃが後頭部を齧り取っていた。 「いだいいだいやべでえええええええええ!!れーむまだあがぢゃんづぐるんだがらああああああああああ!! たべぢゃらめえええええええええええええええええ!!!」 「うっ♪うっ♪うぁうぁ~♪」 絶叫を上げる母れいむに楽しそうなれみりゃ。 ―こっちのぷでぃんはなかなかの甘さだ。もう片方のぷでぃんはどうだろう― そう思って今度はゆっくりチルノを食べることにするれみりゃ。 どうやらこのれみりゃは本物のプリンを食べた事が無いらしく、 食べ物の総称としてぷでぃんと言っているらしかった。 「う~♪あ~ん♪」 大口を開けてゆっくりチルノに噛み付く。 がぶっ その瞬間二つ分の悲鳴が上がった。 「い、いだいいいいいい!あだいってば食べられないいいいいぃぃぃぃ!」 「う゛あ゛ぁぁぁぁぁ!ざぐや゛ああああああああああぁぁぁぁ!!」 何度も述べているようにゆっくりチルノは氷である。 当然固い。そして冷たい。 そんなものに思いっきり噛み付けば……痛いに決まっている。 「ざぐや゛あああああああああああ!!ざぐや゛どごおおおおおおおおお!?!?」 噛み付いた歯から頭に響く冷たさと痛みにれみりゃは悲鳴を上げて見知らぬ人物の名を呼ぶ。 そして勢いのまま抱えていた二匹を放り出し、何処かに飛んで行ってしまった。 「い、いやああああああ!!!!いがないでええええええええええええ!!」 「あたいってばおぢぢゃうのおおおおおおおおお!!」 放り出された二匹はたまったものではない。 さっきまで離してと言っていたのに今度はそのれみりゃに助けを乞う。 が、その願いが聞き入れられることはなかった。 「もっどゆっぐりじだがっだよおおおおおおおおおおお!!!」 「アイシクルウォールイーーーーーズィィィィィィィ!!」 重力に任せて二匹はばらばらに落ちていった。 さて、ここで場面は変わってさきほどの襲撃から逃げ出した子れいむである。 パニックになって逃げ出してしまって家族と離れ離れになったが、今は何とか落ち着きを取り戻していた。 そしてその落ち着きを取り戻した餡子脳は先ほどの襲撃の一つの結論を導き出していた。 ―もう自分の家族はいない― れみりゃの恐ろしさは子れいむもよく知っている。 あの状況で他の家族が助かったとは思えない。 これからは、自分はひとりで生きていかねばならないのだ。 「ううっ、おかーしゃん……おねーちゃん………」 ついさっきまでみんなでゆっくりしていたのに、いきなり自分一人になってしまった。 その悲しみはいかほどのものであろうか。 「みんなともっとゆっくりしたかったよ……でも……これからはみんなの分までれーむがゆっくりするね……」 新たな決意を胸(顔?)に子れいむが顔をあげた時、上から懐かしい声が聞こえてきた。 「ゆううううううううううううううううううううっっっ!!!!」 「おかーしゃん!?」 その声に驚いて上を見上げる子れいむ。そこには空からものすごいスピードで 自分に向かってくる母の姿があった。 「ゆ!?おかーしゃん!てんごくから会いに来てくれたんだね!とってもうれしいよ!またいっしょに ゆっくりしようね!!」 喜びでぴょんぴょん飛び跳ねつつ母へと言葉を投げかける子れいむ。 そんな娘の姿に母れいむも気付き、思わず喜びのあまり落下と言う絶望的状況を忘れる。 「ゆ!れいむの赤ちゃん!生きててくれたんだね!とっても嬉しいよ! もうほかの赤ちゃんはいないけど一緒にゆっくりしようね!」 親子の感動の再会である。 二人の距離はどんどん近付いていく。 そして…… 「おかーしゃあああああああああんぶべっ!?!?」 「れえええええええええええむぎゃあっ!!!!!」 天文学的な確率で二人の距離が0になった瞬間、お互いの名を叫びつつ仲良く餡ペーストになった。 一方同じように投げ出されたゆっくりチルノ。 重力に引かれどんどん地面が近づいてくる。 「あたいってばゆっくりしてないいいぃぃぃぃぃ!!!」 ゆっ⑨りブレインでもこのままでは死んでしまうことは分かる。 ゆっくりチルノの頭にこれまでの楽しかった思い出が走馬灯となって流れ始めた。 その走馬灯は……今度は0.5秒で終わった。 楽しかった思い出も忘れてしまうゆっ⑨りブレインの悲劇である。 そしてそんな事とは関係なく死という現実が迫ってくる。 「あたいってば幻想郷最速ねぇぇぇぇぇぇっ!」 どこぞの天狗が聞いたら怒りそうな事を叫びつつ、ゆっくりチルノは恐怖で目を閉じる。 加速された体は地面に向かって一気に落下し激突――-―― しなかった。 「ゆ?」 疑問の声を上げてゆっくりチルノが恐る恐る目をあけると、何と自分の体が浮かんでいるのではないか。 そう、この危機的状況でゆっくりチルノの本能が彼女の羽を無意識に羽ばたかせるという行動をさせたのだ。 何という奇跡!生命の神秘! 次第にゆっくりチルノも自分が飛んでいることに気づいたのか、喜びの声を上げ始める。 「すごい!あたいってば飛べたのね!」 しばらくパタパタと低空飛行を楽しんだ後、着地するゆっくりチルノ。 ふぅ、と一息ついて空を眺める。 あれほど太陽が輝いていた空は、いつの間にか夕焼け色に染まっていた。 よく覚えていないけど今日はもう疲れた。 さっさとおうちに帰って休もう。 そう考えたゆっくりチルノはゆっくりとおうちに戻っていった。 おうちの場所を忘れて3時間ほどさまよった後、 ようやくゆっくりチルノは自分のおうちを見つけることができた。 途中で自分が何をしているのかも忘れたりしたため余計に時間がかかった。 「ふぅ、あたいってばゆっくりね!」 そう言って巣穴に潜り込むゆっくりチルノ。 しかしそこには………先客がいた。 「むーしゃむーしゃ、しあわせー♪……ゆっ?だれ!?ここはまりさのおうちだよ!」 ゆっくりチルノが蓄えていた木の実を頬張っていた黒帽子のゆっくりが振り向き、自分のおうち宣言をする。 一瞬呆気に取られるゆっくりチルノだが、しかしさすがのゆっ⑨りブレインでもこれには黙っていない。 ここは頑張って自分が掘った巣穴なのだ。他人に渡すわけにはいかない。 「何言ってるの!ここってばあたいがつくったおうちよ!その木の実もあたいが集めたものだよ!」 「ふざけないでね!この木の実は最初からここにあったんだよ!ここはまりさが先に 見つけたからまりさのおうちだよ!」 傍若無人な事を言うゆっくりまりさ。 普通のゆっくりならここでさらに強く言い返すところだが、ゆっくりチルノの頭は既に混乱し始めていた。 ―そういえば勢いで言ってみたけど、自分がその木の実を集めた記憶はない。 このあたりは草が茂っていて場所が分かりにくいし、もしかしたら本当に巣穴の場所を間違えたのかも… そうだとするとここはこのまりさのいうとおり自分のおうちじゃないんじゃないんだろうか― うーん、と悩むゆっくりチルノにゆっくりまりさの言葉がとどめを刺した。 「ここはまりさのおうちだよ!でも今すぐ出ていくなら木の実を少し分けてあげてもいいよ!」 既に傾きかけていたゆっくりチルノにこの言葉は決定的だった。 ―自分がおうちを間違えてとても失礼なことをしたのに、食べ物を分けてくれるなんてなんて親切なんだろう― 「ごめんね!間違えちゃった!あたいってばゆっくりね!」 照れるように笑ってゆっくりチルノが言う。それを聞いてゆっくりまりさは 「分かったのならさっさと出て行ってね!もう来ないでね!」 そういっていくつかの固い、食べかけの木の実をゆっくりチルノの側に投げた。 「ごめんね!ありがとね!」 ゆっくりチルノは礼を述べると木の実を口に詰め込み、巣穴を抜け出していった。 後にはニヤリと笑うゆっくり魔理沙が残された。 「むーしゃむーしゃ、⑱ー!」 巣穴の側で木の実を食べてよく分からない叫びを発するゆっくりチルノ。 18は9の2倍なので2倍幸せと言う意味である。 こんなギャグを思いつくなんてあたいってば天才ね! と自己満足に浸りつつゆっくりチルノは木の実を食べ終えた。 色々あったとは言え何度も水没したことで既に必要な食事量はほとんど満たしていたので、 少ない木の実でもゆっくりチルノは満腹だった。 しかしそろそろ本当に急いでおうちを探さなくてはならない。 もうすでにまんまるのお月さんが浮かんでいる。 「あたいってばゆっくりしてらんないわ!」 慌てておうち探しを再開する。 が、いくら探しても自分のおうちはみつからなかった。 さきほどの巣穴が本当のおうちなのだから、当然である。 さらに一時間ほど涙目で巣を探し続けたがついに見つからず、 ついにゆっくりチルノは木陰にばったりと倒れ伏した。 「あたいってばゆっくりしすぎね……」 もう仕方が無い。きっと巣穴の場所を忘れてしまったのだろう。 今から巣を掘ったり探したりなんてできないし、今夜はこの木陰で眠ろう。 きっと明日になったら巣の場所も思い出すに違いない。 そう考えたゆっくりチルノは木の側で隠れるように横(縦?)になった。 しかし瞼を閉じ、いざ寝ようとすると頬にあたりがなにかかさかさするものがいる。 何かと思って目を凝らしてみると、それは蟻の行列だった。 「あたいってばラッキーね!」 目を輝かせながら目の前の蟻をパクンと食べるゆっくりチルノ。 何匹か食べたところで今度は蟻たちに息を吹きかけ始めた。 「ふーっふーっ」 本来、ゆっくりチルノが他の生物を凍結させるほどの冷気を出すにはくしゃみをするしかないが、 蟻ぐらいの小さい生き物相手であればただ息を吹きかけるだけでも凍結させることが可能なのである。 こうして蟻を冷凍保存しておき、明日の朝起きたら食べよう、と言うのがゆっくりチルノの考えだった。 20個ほど蟻の氷塊を作ったところでゆっくりチルノは眠ることにした。 そして、その氷塊を眺めながら、これなら明日の朝ご飯はごちそうね!と幸せな気分で眠りに就いた。 しかしそこはゆっくりチルノ、ちゃんと作戦に穴が開いている。 いくら凍らせたとはいえこの夏の熱帯夜、小さな氷塊などすぐ溶けてしまう。 ゆっくりチルノが熟睡した後、溶けた氷塊から蟻たちが抜け出していくのに、気づくものはいなかった。 そして翌朝。 水色の髪に薄い色の羽、氷精を模したゆっくりであるゆっくりチルノは今朝は 木陰で起床の一声を挙げた。 「おはよう!あたいってばゆっくりね!」 そして昨日作った朝食用の氷塊など当然のように忘れ、また朝食探しに飛び跳ねていく。 果たして今日はどのような一日になるのだろうか。 夏の青い空は、昨日と変わらぬ晴天の色を湖畔に住む生き物たちに伝えていた。 あとがき 今まで何度もSSを書きかけて途中で挫折したけど、初めて一つ書き上げる事が出来ました。 こういうの書く時は勢いって大事ですね。 しかしおかげで貴重な時間が6時間ぐらい潰れてしまった。 ゆっくり虐待してた結果がこれだよ! あれ?そういえばあんまり虐待はしてないような…… このSSに感想を付ける
https://w.atwiki.jp/yukkuri_gyakutai/pages/91.html
近年多発するゆっくりによる田畑の被害。 それを一掃、または予防するために様々な対策を話し合う事になった、今日はその会議の一回目である。 では、今日は山之辺さんの対策について話してもらいます。それではどうぞ。 うちは主に芋を作ってるんです、味は上々で良く美食家が揃うと言われている紅魔館から、直接仕入れに来てもらったりもしているんです。 そんなわけで、コレまでも小動物に食われるということは多々ありました。 でも初めてゆっくりに畑が襲われてから考え抜いた末、毎年こうして利用しているんです。 朝露が乾き始めた頃、何時ものように畑に向かっていた彼が見たのは自分の畑の上で騒いでいるゆっくり達だった。 農道で区切られている畑の一つ、それがゆっくり達によって無残に食い荒らされていた。 近く程に目を背けたくなる。 かじられた芋がそこらじゅうに散乱していた。 「おじさんどうしたの?ここはゆっくりたちのおうちだよ♪」 さらっと、更に癪に障るようなことを言うゆっくり、どうやら魔理沙種のようだ。 彼は、注意深く辺りを見回した。 ゆっくり魔理沙が一匹、霊夢が三匹、れみりゃとちぇんが一匹ずつ。 楽しそうに芋を食べているそれらを見ていると、沸々と怒りを覚えた彼だったが、口調だけは穏やかにゆっくり に話しかけた。 「君達はどこから来たのかな?」 「もりからきたの」 霊夢種の一匹が答える。 「もりにはこわいおじさんがいるからにげてきたの」 もう一匹の霊夢種だ。どうやら加工場職員の事を言っているらしい。 ずっと森で暮らしていたから、人里のことがよく判らなかったのだろう。 「ここはおじさんの畑なんだよ」 「はたけってなぁに?」 「畑って言うのは、野菜とかを育ててる場所だよ」 「おじさんがそだててたの?」 「そうだよ」 三人目の霊夢種と魔理沙種が交互に答える、どうやらこの群れのリーダー格はこの二人なのだろう。 「おいもおいしかったよ、またつくってね!!!」 「まりさも、またいっぱいたべてあげるよ!!!」 また食べ始めるゆっくり達、いまいち理解できていないらしい。 「あのね、畑って言うのは……」 「ここはまだ、おいもあるから、おじさんもゆっくりしていいよ」 「いや、畑の野菜は売るために作ってるんだよ。ただじゃないんだよ」 「おいしいおいしい! おじさんもっとつくってね」 「うめ、これめっちゃうめぇ! おじさん、はやくつくっておうちにもってきてね」 「これを売ってお金にしないと、おじさんもゆっくりできないんだよ」 「おかねっなに、ゆっくりできるの?」 「食べ物とかを手に入れたりするのに、必要なものなんだよ」 「じゃあいらないよ。もうゆっくりできてるもん。ねー♪」 「ねー♪」 その二匹の言葉でタガが外れた彼は、リーダー格の霊夢種を杭で打ちつけた。 「ゆ゛ーー」 突如、ガクガクと痙攣して絶叫をあげる。 まわりのゆっくり達も、やっと何が起こったのか理解したようだ。 「おじざん。ゆるじでー」 「おながずいだんですー」 「れいむをだずけであげてー」 必死で懇願するゆっくりと、必死に杭を抜こうとする、れみりゃ種。 それを見捨てて、逃げるゆっくり魔理沙の姿が目に入った。 「ゆっくりしんでね」 それだけ言い残して、農道を勢いよく去って行く。 彼もすぐに、残っているゆっくりに、ここにいろとだけ言い残し、急いで追いかける。 「ゆっくりしてってね!!!」 時折振り返ってはそういって挑発する。 たしかに、普通のゆっくりよりも大分はやく動けるようだ。 だが、彼は慌てずに誘導するように追いかけていく。 「ゆっくりしで……!?」 多少ずるがしこいが、やはりゆっくりだ。 これだけあからさまに、誘導しても気付かずに勝手に罠にかかってくれた。 獲物が通ると、即座に縄で縛って吊し上げるモノだ。 「ゆゆ!」 意地悪狸でも捕まえたかのように、彼は腰にさしてあった鎌を持ち近づく。 魔理沙も、これから自分がどうなるか想像がつくらしい。 「れっ、れいむがここをおうちにしようっていったんだよ! わるいのはれいむだよ!」 嘘を並べて何とか逃げようとする魔理沙、しかし既に鎌は振り下ろされた後だった。 「ゆー! ……ゆ?」 おかしい、何時まで経っても痛みは来ない。 不思議になった魔理沙が目を開けると、切られた縄と、それを掴んでいる男が目に映った。 「森で大変だったんだろ。お手伝いをしてくれるんだったら、家においてもいいよ」 優しく語り掛ける、先ほどの殺気が嘘のようだ。 「わっ、わかったよ。おてつだいするよ」 そういう魔理沙を連れて畑に戻ると、杭を抜いてもらった霊夢が看病されていた。 「れいむ、ぶじだったの?」 「うん。ゆっくりしてればなおるよ」 「よかったね」 きちんと急所は外せたらしい、穴が開いているようだが、じきに塞がるだろう。 どうやら、ショックで魔理沙が逃げ出したことも覚えていないようだ。 「じゃあ君達、ここはおじさんの畑だから、勝手に住んじゃいけないよ。でも、きちんとお手伝いするって約束し てくれたら、家に住まわせてあげるよ」 「するする、やくそくするよ」 「もうかってにたべないから、ゆるしてね」 素直に頷いたゆっくり達を、家に連れて帰った。 とりあえず、庭の木の下を自由に使わせてやることにして、今日は休ませた。 明日からお手伝いしてもらうよとだけ告げて、彼も中に入っていく。 翌日から、ゆっくりたちは一生懸命お手伝いをした。 ちょうど、秋の収穫時だった為、ゆっくり達に収穫させて、彼が運ぶと言う構図が出来上がっていた。 もっとも、あの霊夢と魔理沙は時々盗んで食べていたようだが。 今まで一人でやっていた作業を分担してやることが出来た為、収穫も早々に終えることが出来た。 しかし、辺りが雪に覆われ始めた時、未だ庭で生活している事に、あの二匹が文句を言ってきた。 「おじさんだけあったかいへやのなかでずるいよ。まりさたちもはいるよ♪」 「れいむたちがてつだったから、おかねいっぱいになってゆっくりできるんだよ♪」 図々しく上がりこんでくる、連れられて入ってきたほかの種類は端の方で寄り添って暖を取っているというのに、 二匹は堂々と火鉢にあたってきた。 「あったかいね」 「ひがでてるもんね」 「あのまきをくべるともっとあったかくなるかな」 「もっとゆっくりできるね!」 「おいおい、蒔きも高いんだから無駄には使えないんだよ。ダメダメ」 「だってさ」 「おおこわいこわい。まりさたちがてつだわなかったら、こんなにかえなかったのにね」 「「ねー」」 いっそ、ここで加工場に売り飛ばしてもよかったが、彼は他の利用法があったので、渋を薪をくべた。 「あったかいね」 「こんどから、もっともっとまきをいれてね」 それから暫く経ったある日、珍しく彼は朝早くから台所に立っていた。 「おじさん、おへやあったかくするね♪」 「まきはいれられるから、おじさんはそこで、ごはんつくってってね」 そんな図々しい言葉を聞いても彼はそうかい、とだけいって流した。 余程、今作っているものが大切なのだろう。 「さぁ、できたよ。かぼちゃを大量ににたんだ」 大きな鍋に大量に入ったかぼちゃ、綺麗に一口大になっているそれは、ゆっくり達にはご馳走に見えた。 「おいしそー」 「うめっ!めっちゃうめー」 「うめー! おじさん、これうまいから、まいにちつくってね!!!」 「おかねいっぱいあるから、まいにちつくれるね!!!」 彼は、何も言わずに終始ニコニコとそれを見ていたが、粗方食べ終わった頃に、ようやく一言だけ喋った。 「この頃、あまり跳ね回っていなかっただろ、実は昨日、運動する装置を買ってきたんだ」 「やるやる」 「れいむもやるー」 「よしよし、じゃあちょっと体を縛るよ」 ゆっくりをしたから四方に縛っていく、縛り終えると、ちょうどスイカを縛っているような状態になった。 その調子で次々と全員を縛っていく。 縛り終えたところで、今度は魔理沙を、取っての着いた四角い箱に入れていく。 「さいしょは魔理沙からだね」 「はやくうごかしてね」 「言われなくても」 言うが早いか彼はものすごい勢いで取っ手を回し始める。 連動するように、魔理沙がはいった箱もすごい勢いで回る。 「ゆゆ!」 中身がかき回される感覚、そんな奇妙な感覚に魔理沙は何も言えない。 「よし、次」 たっぷり十分は回しただろうか、箱から出された魔理沙は口から戻さないように、直ぐに口を塞がれていた。 その後も、れみりゃをのぞく全員が同じように回された。 彼はその様子を満足そうに見ると、一人で食事を済ませ眠ってしまった。 翌日、彼はそのゆっくり達を荷車に載せ、街までやってきた。 まず、ゆっくりれみりゃをセリにかけて大金を手に入れ、次にこれまた高値でゆっくり達を売りさばいた。 何がなんだか分からないままに、売られていくゆっくり達。 離れるのがいやで必死に近づこうとするが、縛られてしまっている状態ではまったくの無力だった。 あえなく散り散りになるゆっくり達。 魔理沙を買い取ったのは、永遠亭のイナバだった。 「はやくこの縄を解いてね。はやくといてね」 「……気持ち悪い」 「おおこわいこわい」 へらへらと喋りかけるゆっくりを見て呟くイナバ、その後、彼女は永遠亭に着くまで一言も口を開かなかった 「ただいま帰りました。師匠、言われたものを買ってきましたよ」 「ありがとうウドンゲ。じゃあ、先に姫様のお部屋に運んでおいて頂戴」 「はい」 だれもいない部屋に放置された魔理沙、しかし今までも家とは比べ物にならない位暖かいこの部屋は、魔理沙にとって居心地がよかった。 魔理沙は勝手にここを自分の部屋にした。 「あら、今年はなかなか大きいわね」 「そうですねー。それじゃあ頂きましょうか」 突然入ってきた二人の女性に縄を解かれる。 「ここは、まりさのへやだよ!かってにはいっちゃだめだよ!!」 「あらあら、うふふ」 「ことしは、特にふてぶてしいですね。」 言いながら帽子を取り払う。 「おおこわいこわい。ゆっくりかえしてね」 「……面白くなりそうね永淋」 「はやくでていってね、それとゆっくりできないから、ごはんももってきてね」 「えい♪」 「ゆ?」 突然、体に包丁を入れられる魔理沙。 余りにも突然だったので、一瞬呆気にとられた、が。 「い゛い゛い゛いだいー」 直ぐに、激烈な痛みが襲い出した。 それを意にかけずに、更に包丁を進める輝夜。 右の頬にグルッと円を描いたそれは、反対側にも同じように円を描いた。 「いだいよ。おばさんなにするの!」 この期に及んで神経を逆撫で摺る様な事を言う魔理沙、今までの癖なのだろうが自分の首を絞めることになった。 「へぇー、本当に今年のは面白いわねぇ」 スプーンに持ち替えて頬から中身を掻き出していく、反対側も同様だ。 「!!!!い゛い゛い゛い゛だ゛だ゛だ゛だ゛だ゛い゛い゛い゛い゛い゛」 もはや余裕も何もない、気を失うまで、想像を絶する痛みにただ耐えるだけだ。 しかもそれも簡単には叶わない。 既に、魔理沙種の体の構造を調べ終えている永淋の指示で、生命に関係の無い箇所から掻き出されているのだから。 「ゆ゛ゆ゛ぐり゛じだだい゛よ゛ーー!」 「おお怖い怖い。永淋見てよこの顔」 「確かに見るだけで不快感が増しますねー」 二人はこれから数十分間この作業を続けた。 今年は、研究の成果か出し終える直前までゆっくりの意識があったようだ。 「うどんげー終わったわー。夕食のテーブルに運んで頂戴」 「はい師匠。うわぁ、今年は特に美味しそうですね」 通常、食事の用意はイナバ達がやるのだが、この作業は別であった。 わざわざ回りくどい方法で、絶叫と共に餡子をとりだすこの方法は、永遠を生きる蓬莱人のみが理解できる方法なのだろう。 或いは、これで一年を知っているのかもしれない。 今日は冬至の日、そして彼が売っていたゆっくりはこう書かれていたのだから。 ~今年も販売!! 冬至かぼちゃ。 冬まで保存したかぼちゃと、同じく腐らずに保存されている ゆっくりの生餡で作った特製です。冬を乗り切る栄養がたっぷり付きますよ~ 以上です、そういって彼は発表をやめた。 「ありがとうございました。さて、今の意見ですが、時期は限られていますがこの時期には殆どの人が作るので需要は大量に見込むことが出来ます。 それでは、第一回ゆっくり畑荒らし対策会議を終わります。今回の議題の解答は次回までに考えておいて下さい」